結末を決めずに物語を作っていく「ライブ感覚」

©真島ヒロ・講談社/劇場版フェアリーテイルDC製作委員会

―― 連載のほうは今、物語が佳境に入っているところですが、連載を始める時に結末をどのくらい決めるものなのでしょうか。

真島:実は全然決めていなかったんですよ。前作『RAVE』はガチガチに決めていたのですが、『FAIRY TAIL』は最初はここまで壮大な物語になるつもりではなく、魔法使いたちが楽しく出てきて10巻くらいで終われば良いなと思っていました。

後付けで話を作ってきたので、(連載で)毎週強烈な“ヒキ”を作ってしまうと、自分自身でもこの後どうなるんだろうって思ったりしますね。前の週に仕上げた原稿に「つづく」って書いた自分にクソーって思ったり(笑)。ただ、その時その時に物語を作っていくライブ感覚って実はすごく面白くて、自分には向いているなと思います。

―― 先生は漫画さんの中でも「筆が早い」という噂がありますが。

真島:あくまで噂です(笑)。この業界にいると、本当にバケモノみたいに早い人もいるので、自分なんて全然です。

ただ、結構計画的にやっていますね。例えば「一挙2話掲載」となると、読者の方は「すごい、1週間に2本も描いたんだ」と思われるかもしれませんが、そうではなくて、結構前から準備して、たまたまストックが1本出来たから放出しますよ、っていう感じなんですよね。

―― ネタ帳などはいつも書いたりしているのですか?

真島:ネタ帳は作っても続かないですね。自分の頭の中だけで完結しているので、あとから見返してもよく分からなかったりして。ネタ帳というよりは、そのへんにある紙にメモしていますね。

連載をはじめた頃は、スキマ産業だった(笑)

―― 先生が一番最初に好きになった漫画、影響を受けた漫画を教えてください。

真島:『キン肉マン』ですね。登場キャラクターの絵をよく模写していましたし、僕の絵のルーツの一番は『キン肉マン』です。ロビンマスクが特に好きでした。最初は強キャラとして出てくるのに、途中そうでもなくなって、最後にまた超強くなるのが好きですね。

―― 「漫画家」という仕事を意識したのはいつ頃でしょうか?

真島:小学校の頃からずっとなりたいとは思っていたんですけど、高校に入ってから漫画を描くよりバンドの方がモテると思って(笑)、一時期そちらに夢中になりました。でも、あるコンテストに出たとき、優勝したのが13歳くらいの少年で、「こんな天才がいる世界は無理だ!」と、また漫画に戻りました。

上京をきっかけに色々な賞に応募して、本当に運が良かったと思います。僕が連載をはじめた頃の『週刊少年マガジン』ってファンタジー作品をあまり取り扱ったことがなくて、スキマ産業だったんですよね(笑)。

―― 先生が漫画家デビューをしてから19年ほどの月日が経っていますが、昔と比べて現在の漫画やアニメを取り巻く環境にどんな変化を感じますか?

真島:だいぶ環境は変わってきたと思います。これまでのテレビシリーズは視聴率が全てだったと思いますが、最近は違う指標が出てきたと思います。あとは配信サービスも、日本ではまだまだ浸透しきれていない部分があるので、今後もっとアニメの環境も変わると思います。

配信やSNSがなければこんなに海外の方に観ていただけないですから、そうした環境の変化を楽しみながら、クリエイターとして良いものを作るという想いは変わらずに、作品を作り続けていきたいです。

―― 今日は大変貴重なお話を、どうもありがとうございました!

©真島ヒロ・講談社/劇場版フェアリーテイルDC製作委員会

『劇場版FAIRY TAIL –DRAGON CRY-』全国公開中 配給:ギャガ
©真島ヒロ・講談社/劇場版フェアリーテイルDC製作委員会