よく喋る親だけど、子どもは語彙が貧しいパターン

反対に、一日中喋っているママなのに、子どもの語彙が貧弱なことがあります。

親の言葉を分析してみると、朝から晩まで「早く食べなさい」「早く寝なさい」と機関銃のように言っているだけ。

親が喋っている時間は長いのですが、語彙の種類はそう多くはありません。

親が気を利かせすぎる“先回り”パターン

子どもが「水!」と叫んだだけで親が水を出したり、何も言っていないうちから「ああ、こうしてほしいのね」と先回りしてしまう気が利くママ。

そうしたせっかちなお母さんの場合、子どもの語彙にはどんな影響を与えるでしょう。

子どもは自分が言葉を使わなくても事が運ぶので、残念ながら語彙は発達しません。よその人に対しても「喉が渇いたのでお水を下さい」と、5歳になろうとしているのにきちんと相手に伝わるような日本語が使えないのです。

筆者は子ども達に授業をしていますが、他の大人に対して「先生、おしっこ」「先生、鉛筆」と叫ぶだけの子どもは、家庭できっと「ママ、水」と言っていると思っています。

「先生、トイレに行ってきていいですか」「先生、鉛筆を忘れたので貸してください」と言える子は「ママ、お水ちょうだい」と家庭で会話していると思っています。

小学6年生になるとさらに差がつく

前述の表によると、読書をする子としない子とでは、小学校6年間経過したとき、その語彙数の差は縮まるどころか開いています。これが見事に学力に比例しています。

それもそのはず、学校で意見を発表したり、文章表現(作文など)では自身の持っている言葉を使って組み立てるからです。

小学生になると、幼児期ほど絵本の読み聞かせはあまりすることがありません。けれども学校に上がる前の乳幼児期に絵本をたくさん読み聞かせてもらった子どもは間違いなく、小学校入学前から“本が好き”になっています。

ですから、この頃になって自分で文字が読めるようになると、学校の図書館に足しげく通い読書をするようになっていくのです。これが6年生になったときの語彙数の差になっていくのですね。

大人でも一ヶ月に一冊本を読む人と、全く読まない人がいます。これは子どもも同じで、毎日本を読んでいる子と一ヶ月に全く読まない子がいます。本を読む子は語彙数が多く、読まない子は語彙数が少なくなります。

ゲーム・テレビとの関係

本を読む子は1秒間に20文字以上読めますが、読む習慣がない子は多くてもたった5文字です。

本を読まない子は活字が苦手で、文章を読むと睡魔が襲ってきます。その分、ゲームやネット、テレビに費やす時間は一日3時間~6時間にもなっています。これも学力に比例しているわけです。

本を読むと高い学力が付く理由

算数の問題です。「3人の子どもに飴を2個ずつ配りました。まだ、1個余っています、飴は何個あったのでしょう」

「2×3」「6+1」などのかけ算、足し算を知らなくても、文章を読んでイメージ出来る子は1年生でも「2と2と2でまだ1個あるから7個あったんだ」と答えられます。

算数の力は計算力だけではなく「どうやって解くか」の立式力。文章を読みとる力。だから国語力のない子は次第に算数も出来なくなります。

“読書する子が学力が高い”のは、よく考えてみれば当たり前のことです。国語も算数も理科も社会もすべて活字を読むことが基本だからです。

小学校1年生のうちは“漢字を筆順どおりに正しく書ける”“計算問題が得意”であれば、ある程度の成績はとれます。

けれども、もし文章を読み取る力が付いていなかったら……学年が上がり、国語は長文読解問題、算数が文章題ばかりになったとき学力は低迷していくのです。