左:市井昌秀(映画監督)、右:眞島秀和(俳優)

【第2夜】『隼(はやぶさ)』 市井昌秀(映画監督)×眞島秀和(俳優)

第2夜は、星野源主演の『箱入り息子の恋』をはじめ、人生の泣き笑いが詰まったエンタテインメント作を生み出す市井昌秀監督のルーツが垣間見える1作『隼』を上映。

上映後は、市井監督が書き下したオリジナル脚本によるTVドラマ『サウナーマン〜汗か涙かわからない〜』(朝日放送テレビ)の主演俳優、眞島秀和と監督のクロストークに突入!

PFFアワード2006で準グランプリと技術賞を、香港アジア映画祭のコンペティション部門「New Talent Award」でグランプリに輝いた『隼』は、“昭和”をどこか感じさせる貧しくも清い夫婦愛の物語だ。

エンタテインメント性溢れる夫婦の愛の物語。眞島秀和は市井作品の魅力をどう紐解く?

登場するのは、廃品回収業者の夫と、焼肉店で働く妻。夏の暑い盛り、食べるのに精いっぱいの彼らの家には扇風機1台さえない。うだる暑さをふたりは下着姿でやり過ごす。

目下のふたりの願いは、エアコンの購入資金を捻出すること。ただ、このエアコンの夢が、貧しくも仲睦まじかった夫婦の関係に亀裂を入れ、別れの危機を招く。

となると、自主映画であることと合わせて、現代の貧困に着目した辛気臭い物語を想起するかもしれない。ところがこれが大違い。

ダメな夫に、出来た妻が三行半を突きつけると物語は転がりはじめ、妻の怒りの反逆ドラマから、負け犬の奮闘劇、最後はラブストーリーへ表情を変えていく。

市井の人間にすぎない夫婦のいいこともあれば悪いこともある歩みに、気づけば心をグッともっていかれ感情移入してしまう、まさにエンタテインメント作に仕上がる。

また、“ダメな自分を受け入れるところから前を見て奔走する”夫のキャラクターは、その後に市井監督が発表する『箱入り息子の恋』の星野源演じる健太郎や、『ハルチカ』で橋本環奈が演じたハルに受け継がれているかもしれない。

『隼』 ※PFFアワード2006準グランプリ

それから市井監督はお笑いグループ、髭男爵の元メンバー。全身包帯姿でのまさかのバイク爆走シーンなど、荒唐無稽な笑劇シーンも見どころだ。

また、最近では『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』シリーズ(テレビ東京系列)でおなじみの漫画家、蛭子能収がホームレス役で出演。

主人公の夫に多大な影響を及ぼすキーパーソンで、ある意味、人の道を説く役を独特の存在感で演じる蛭子の登場シーンも見逃せない。

これまで数多くの映画やドラマに出演してきた眞島秀和が、ドラマ『サウナーマン…』で自身も体験した市井監督のオリジナル脚本の魅力、そして笑いの演出をどう紐解くのか?

市井監督が対談を熱望したという眞島から何を聞き出すのか? ふたりの映画愛が炸裂するその瞬間を楽しみに待ちたい。

配信スケジュール

【第2夜】7月5日(日) 21:00~
上映:市井昌秀監督作品『隼(はやぶさ)』(※PFFアワード2006準グランプリ)
トーク:市井昌秀(映画監督)×眞島秀和(俳優)