モーリス・ユトリロ《モンマルトルのミミ=パンソンの家とサクレ=クール寺院、モン=スニ通り(モンマルトルのサクレ=クール寺院)》1925年 SOMPO美術館

第4章「風景と人の営み」

19世紀後半から20世紀かけての欧米の風景を描いた作品が紹介される。

モーリス・ユトリロ(1883〜1955)によるモンマルトルの街並み、ポール・ゴーギャン(1848〜1903)が力強い色彩で描いた仏アルルの並木道、また、20世紀後半に失われゆくアメリカの牧歌的風景を刺繍画や油彩画を制作したグランマ・モーズス(1860〜1961)らの作品が並ぶ。

ポール・ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》1888年 SOMPO美術館

第5章「人物を描く」

「人物を描く」と題した第5章では、19世紀後半から20世紀にかけて活躍した画家たちによる自画像や、身近な人々を描いた作品が紹介される。

ルノワール(1841〜1919)が豊かな色彩で描く女性たち、東郷青児と岸田劉生の自画像、ジョルジュ・ルオー(1871〜1958)がボードレールの詩集『悪の華』のために制作したキリスト像など、多彩な表現を見ることができる。

左:ピエール=オーギュスト・ルノワール《帽子の娘》1910年 SOMPO美術館 右:ピエール=オーギュスト・ルノワール《浴女》1892-93年頃 SOMPO美術館
右:東郷青児《自画像》1914年 SOMPO美術館 左:岸田劉生《自画像》1913年 SOMPO美術館
ジョルジュ・ルオー《『「悪の華」のために版刻された14図』Ⅲ-キリスト》1927年刷 SOMPO美術館

第6章「静物画ー花と果実」

最終章となる第6章「静物画ー花と果実」では、ポール・セザンヌ(1839〜1906)による《りんごとナプキン》、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜1890)による《ひまわり》を堪能できる。

ポール・セザンヌ《りんごとナプキン》1879-80年 SOMPO美術館

《ひまわり》は、1988年に当時は安田火災が創業100周年記念として購入。以来、美術館のシンボルとして常設されてきた。新美術館では、展示ケースに映り込みが少ない特殊なガラスを採用。作品とガラスの距離も近くなり、細かな筆のタッチも見てとれる。

フィンセント・ヴァン・ゴッホ《ひまわり》1888年 SOMPO美術館

同作は、ゴッホが7点描いた連作《ひまわり》のうちのひとつ。ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の作品をもとに描かれたと言われるが、現在、上野の国立西洋美術館で開催中の『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』(〜10月18日)にてその元となった作品を見ることができる。花の本数や構図、背景の色はほぼ同じだが、全体の色調や絵の具の盛り上がりなど、ゴッホが再制作にあたって加えた変化を発見することができるはずだ。

また、SOMPO美術館開館記念展の第2弾として、『ゴッホと静物画 伝統から革新へ』が10月6日(火)から開催予定。17世紀オランダから20世紀初頭までのヨーロッパの静物画の流れの中にゴッホを位置づけ、ゴッホが過去から学んだこと、そして次世代の画家たちに与えた影響などを探るという。

貴重なコレクションのひとつであるゴッホの《ひまわり》を中心に、新宿の新たなアートランドマークとなるSOMPO美術館の今後の展開にも注目していきたい。

【開催情報】
『SOMPO美術館 開館記念展「珠玉のコレクションーいのちの輝き・つくる喜び」』
7月10日(金)〜9月 4日(金)までSOMPO美術館にて開催