シド 撮影:奥田耕平

ーーここ数年で感じ方が変わったのはなぜでしょう?

明希 オンラインサロンというわりとファンの人と密接な関係になれるコンテンツを始めていて、悩み相談をいただくこともけっこう多くて。逆に言えば僕もそのコメントを見て、もっと頑張らなきゃ、頑張りたいなって思う瞬間もあって。

例えばファンのある人が「気持ちが滅入って何もする気が起きないんです。この先どうしようかな」って思っていたときに、たまたまシドの『エール』を聴いて、もう一回奮い立った、というコメントを見たりすると、それこそ自分を投影してしまうようなときもあります。

僕もいろんな曲に助けられてきたので、「ああ、自分もそういうこと思っていたな」って気持ちがわかるし、ファンは自分の気持ちを奮い立たせてくれる存在です。昔はもっと違っていて、若かったので、いわゆる「ロックスター」という振る舞いに憧れていた時期があったんですけど、そういうことも経験して、今はもっとファンの人にパーソナルで向き合いたいなという気持ちになっていますね。

あとはいろんな音楽があってバンドがいる中で、自分たちのバンド、自分の音楽を選んでくれた、という感謝の気持ちがすごく強いです。バンドを何年もやっていると、1年1年を更新していく中で、ファンの人がこうやって応援してくれるから、17年、そして18年目も走れると思う原動力になっているわけだし、そういう意味では本当に心から感謝です。

夢があって、シドの音楽が背中を押してくれた、頑張ってよかったです、というようなコメントをもらうと、音楽家冥利に尽きるんですけど、それ以上に「やっていてよかった」って自分の糧になるんですよね。

シド 撮影:奥田耕平

ゆうや ファンのみなさんは、自分にとって絶対的な存在かなと思います。ファンの方がいなかったら、シドのゆうやではいられないような気もするし、それって普通の生活をしているときでも感じたりするんですよ。

身なりをもっとちゃんとしようって思ったりするのも、ファンの人がいるからだし、もっとシャキッとしようって思います。例えばこれをSNSにあげないとなって思ったりするのもファンがいるからだし、ファンがいなかったらまったくそんなのはやらないんだろうなと思ったりもするし。今の自分の存在がある上では絶対に必要な、絶対的な存在なんじゃないかなって思いますね。

シド 撮影:奥田耕平