僕らはまず行動を起こして、その後はファンの方に判断を任せる
――現在、ライブを行う上で、気をつけていることはありますか?
星七:各都道府県によって、コロナウイルスに対するガイドラインが違うんです。なので、一概にこれをしている、ということはないですね。
それに僕ら自身は、感染対策のプロではない。僕たちは来年メジャーデビューしますが、マネジメントは自分たちでやっています。
いわゆる「自主」ですし、潤沢な予算があるわけではないですが、そこに関しては、イベント会社さんに別料金を払っててでも、対策を徹底してもらっていますね。
――ファンの方の反応は?
星七:地方に来ることのできないバンドも多い中で、「the Raid.が来てくれた!」という声も聞くので、ツアーをやってよかったと思っています。
無観客配信ライブという選択もありますが、ある程度知名度を持っているアーティストだったら、それでも成立するけれど、そうじゃない場合「場繋ぎ」にしかならないと思います。
僕らが地方にもライブへ行くことで、直接会える喜び、ライブの楽しさを思い出してほしいと思っています。
――バンド側もですが、ファンの側も家庭や仕事の事情でライブに足を運べない人もいますよね。
星七:いろんな事情があって、県をまたいだり、あるいはライブに行くこと自体が難しい方もいます。僕自身も家族に高齢者がいるので、会えない家族がいます。
なので、僕らはまず行動を起こして、その後はファンの方に判断を任せるしかない。ライブは難しくても、昼間のリリースイベントは行けるという方もいますし。それはもう人それぞれですよね。
まず自分たちが会いに行くという姿勢は崩さず、各地の感染症対策に則って、行ける地域には行きたい、それは今の自分たちの想いです。
――このツアーのファイナルは、12月26日(日)の国立代々木第二体育館、バンド史上最大キャパです。
星七:まず、「体育館」なので、ライブハウスと違って、感染症対策をふまえた上で、ステージを見やすい舞台設定や席の配置も可能ですし、コロナの時期にピッタリだと思ったので、選ばせてもらったところもあります。
今の所、ツアーでの感染に関する報告もいただいてないですし、各地のガイドラインを遵守しています。お客さんの不安はできるだけ取り除きたいので、「プロに任せている、徹底してやっている」と、強気でアナウンスしています。
――そのくらい自信を持ってアナウンスしてもらったほうが、行く側としても安心できると思います。
星七:ライブでは、今声を出すことができないし、お客さんの歓声でライブそのもののボルテージがあがっていくことも、バンドの醍醐味だと思うんですけど、the Raidのライブに来てくれる人は、「好きにしてほしい」というか、ライブ中に「拳上げろ」とか煽ったりはするし、YouTubeにも「振り付け動画」を上げているけれど、あくまで、よりライブを楽しんでもらうためのバンド側からの提示であって、絶対にそれをしなければならないルールではないし、それをする・しないはお客さんの自由だから。それはコロナ前からずっとそうですね。
自分自身がライブを観るお客さんの立場だったら、「今日は棒立ちでゆっくり音楽を聴きたい」とか「頭を振るのはやめよう」とか、いろんな状況があるから、そこを強制するのは違うと思っているので。
そこを強制するようなことを言うバンドもいるけれど、半ば強制で作ったライブを観て「盛り上がっている/いない」というのは違うと思う。それはヴィジュアル系の窓口を狭くしてしまうのではないかと思っています。
最近は対バンイベント自体出演する機会も少ないのですが、このシーンでよくある「対バンして他のバンドのお客さんをとろう」という考えよりは、今ヴィジュアル系を聞いていない人たちを、ヴィジュアル系の世界に引き込むため、今あるパイの取り合いをするよりは、パイ自体を増やしたいと考えています。