ヴィジュアル系バンド・the Raid.は今夏、2021年にメジャーデビューすることを発表し、現在はインディーズラストワンマンツアー『サヨナラインディーズ』の真っ只中だ。
12月26日(土)に開催されるツアーファイナルは、バンド最大キャパになる国立代々木第二体育館。バンドを牽引するボーカルの星七に話を訊いた。
バンドが止まってしまうと、チャンスを逃してしまう気持ちもあった
――現在は『サヨナラインディーズ』ツアー中ですが、the Raid.は新型コロナウイルス影響下において、かなり早い時期から観客を入れたライブを再開していますよね。その選択には、かなりのプレッシャーがあったのでは。
星七:もちろん、最初は抵抗もありました。他の有名な、メジャーのアーティストさんがライブを再開してくれてから……と思っていた時期もあったんですけど、それもなかなか難しかったようで。
僕自身は、バンドの寿命を気にしながら活動しているんですけど、それを意識する上で、あまり長いこと待てないという意識もあって、誰かを待つのではなく、自分たちライブをやって、誰も感染者を出さなかった前例を作ろうという考えに至りました。
――いつか来る「バンドの寿命」を考えると、今止まっている場合ではないと。
星七:そうですね。趣味でやるぶんには、おじいちゃんになってものんびり音楽活動できたらいいなとは思うんですけど、仕事としてやっていく、the Raid.というバンドをやっていく場合、それは事情が変わってきます。
コロナ禍でも時間も平等に経過していくし、人間は平等に年を重ねていくわけで、体力的にも、現在のような過密スケジュールでツアーを行うことが難しくなってきます。
それに、物事には旬というものがあります。ヴィジュアル系というジャンルも、「ヴィジュアル」という名前がついている以上、外見にもこだわっていきたい。そうなると年齢によって、できることも変わってくると思うんです。
さらに、ここでバンドが長期間止まってしまうと、チャンスを逃してしまうという気持ちもありました。過密スケジュールでやっていたこともあって、一度バンドを止めてしまうと、緊張の糸が切れてしまうかもしれない。
47都道府県をまわるロングツアーをやると、約半年はかかります。言ってしまえば、人生の半年間の消費することになります。それって、結構な覚悟が必要なんですよね。僕らはそれをこれまで当たり前のようにやってきたけれど、実際は当たり前ではない。
それだけ覚悟を決めてやっていたので、チャンスを逃さず、自分たちのモチベーションを下げずにやっていく道を選びました。