ソン・へ通りをさらに北上

タプコル公園の東側の門まで屋台が並んでいる。この写真は冬なのでテントの幌が下りている

再びソン・ヘ通りに戻り、さらに北上すると左手にパゴタ・タウンという雑居ビルが見える。ここにはかつてパゴタ劇場という映画館があった。館内は知る人ぞ知る同性愛者たちの出逢いの場だった。

パゴタ・タウンの角を左に曲がると、車の入らない通りに屋台が並んでいる。ここで飲んでいるのはほとんどが中高年男子だ。

美味しそうにマッコリの椀を口に運ぶおじいちゃんを横目に歩いていくと、タプコル公園の東側の門に突き当たる。そこを右に曲がると、前回紹介した「ホッパチプ」というユッケやレバ刺しの人気店が右手に見えてくる。

この辺りには地べたに横になっていたり、座って飲んでいたりする人がいるが、見た目ほど治安は悪くない。不躾に彼らにカメラを向けたりしない限り特に危険はないだろう。

 

ソン・ヘ通りを逆戻りすると

鍾路3街駅の5番出口からソン・ヘ通りを北上すると、大衆音楽の街らしいポスターと出合う。この街には今でも流しのギター弾きやアコーディオン弾きが存在する

鍾路3街駅の5番出口辺りまで行ったら、Uターンしてソン・ヘ通りの反対側の歩道を逆戻りしてみよう。

通り沿いには人気のある食堂が並んでいるので、気配がよかったら入ってみるのもいいだろう。

中高年男性ばかり見て胸やけがしてしまったという人は、口直しに(?)さっぱりとした平壌冷麺でも食べるといいだろう。通りをそのまま進み、鍾路の大通りに出るひとつ手前の路地を左に曲がると、左手の2軒目の雑居ビル2階に「ヌンラ・パプサン」というレストランがある。

脱北者が経営する本格的な北朝鮮料理店だ。この店の平壌冷麺は平壌式らしくスープがとても淡白で上品な旨味があるので、日本の人にもおすすめだ。

まずは茹で豚肉や腸詰で一杯やって、最後に蕎麦粉の香る冷麺で締める“先酒後麺”を楽しんでほしい。

鍾路3街駅の5番出口の近くに貼ってある地図。店主が自分の店に客を引こうとしてか、勝手になにやら書き込んでいるのはご愛敬

(つづく)

【鍾路3街とは?】

ソウル旧市街(漢江の北側)の観光地・仁寺洞(インサドン)の東隣りに位置する庶民の歓楽街。おじいちゃんの憩いの場、巨大屋台街、スタイリッシュなカフェレストラン街、新宿2丁目的な路地、ドヤ街などが共存するカオスな街だ。ここ数年、日本のガイドブックに登場するようになった韓屋カフェレストラン街・益善洞(イクソンドン)は鍾路3街の中心部にある。

2月7日(日)夕方、チョン・ウンスク「ソウル発オンライン講座」開催

日本のみなさんが約1年間訪問できなかった韓国ソウルの街の変化についてお話します。お申し込みは栄中日文化センターへ。

 

フォトギャラリーソウル旧市街の中心部、鍾路3街の魅力をじっくり見る
  • 鍾路3街駅の5番出口の近くに貼ってある地図。店主が自分の店に客を引こうとしてか、勝手になにやら書き込んでいるのはご愛敬
  • 仁寺洞側から楽園商街に向かう。写真中央が車道になっている1階部分
  • 楽園商街地下市場のそうめん(チャンチククス)。海苔やズッキーニがたっぷりでヘルシー
  • 楽園商街のビル脇の階段を降りると地下市場
  • 楽園商街地下市場にある修繕屋さん。ミシンの音が懐かしい

鄭銀淑:ソウル在住の紀行作家&取材コーディネーター。味と情が両立している食堂や酒場を求め、韓国全土を歩いている。日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル大衆酒場めぐり」を主宰。著書に『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』『釜山の人情食堂』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』など。株式会社キーワード所属。