舞台を見始めてまず驚いたのは、各出演者の"声"が原作キャラによく似ていることだ。よく聞けばぜんぜん違うのかもしれないが、少なくともパッと聞いた感じはかなり近い。声質の似た俳優をキャスティングしていることもあると思うが、それ以上に各俳優が声を似せようと努力している感が伝わってくる。これはかなりの高評価ポイントだ。

 

というのも、原作である「戦国BASARA」人気のかなりの部分は、出演している豪華声優陣のファンによって支えられているからだ。

もちろん原作プレーヤーには声を重視しない純粋なゲーマーも多いのだが、そうしたゲーマーがゲーム以外のメディア展開まで含めて追いかけるファンになるかというとなかなか難しい。ゲームの枠を飛び越えて応援してくれるのは、戦国BASARAの世界観やキャラクターそのものを好きになってくれるファンであり、その要素の一つとして"キャラクターの声"は非常に重要な位置を占めているのである。

つまり、舞台で戦国BASARAのキャラクターを再現するなら、声にこだわるのは正解なのだ。

粋な言葉を吐きながら、銃を豪快にぶっ放す雑賀 孫市(八代 みなせ/写真左)、それに立ち向かう伊達 政宗(久保田 悠来/写真右)
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登場人物たちの武器の使い方が見もの
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キレのある動きで、次々となぎ倒す徳川 家康(広瀬 友祐/写真右)
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次に驚いたのは、キャストによる殺陣の技術だ。原作で最大の売りとなる"スタイリッシュアクション"は、流れるような動作から繰り出される派手な技で大勢の敵をなぎ倒していく爽快感がポイント。それだけに、この部分を再現できないと、ただ珍妙な衣装を着た人が暴れるだけの時代劇になってしまう。戦国BASARAが戦国BASARAであるためには、スタイリッシュアクションをどれだけリアルに再現できるかが重要なのである。

この点でも、舞台「戦国BASARA」は十分な驚きと興奮を与えてくれる完成度であった。なんといっても、原作に登場する技や動きのモーションを忠実に再現できているところが良い。ここはキャストもかなり練習したところではないだろうか。