「もっとこういう表現をしたい」と思ったことは?

撮影:小嶋文子

――前作の映画第1作から物語の中の月日は数か月しか経過していませんが、実際には2年近くが経ちました。それだけに、もっとこういう表現もしたい、というような欲が出ることはなかったですか?

もともと僕は、台本を読んで、自分なりにいろいろやりたいことを考えて、それを現場で作っていく作業が好きなんです。ただその内容は現場によっても変わりますし、『賭ケグルイ』の場合は、さらに反射神経も必要だったりするんですけど。

そんな中で今回特に思ったのが、みなさんがやりやすい間やテンポを作るのが、鈴井くんの役目の一つだな、と。

僕がエンジンをかけて全体をテンポアップさせたり、逆にダウンさせたり、間を詰めたり。今まで以上にそういう役割を担っていきたいな、と思うようになりました。

――なぜそのように思ったのですか?

鈴井くんはもともと全体のエンジンをかける、ギアを上げる役割で。人のテンポに合わせて、そこから徐々に上げていくという作業をしていたんですけど、その役割をもっと広げられたら、と思っていたんです。

4年間をかけて見えてきたこともありますし、今回は僕が作ったテンポで進んでいるな、と感じることが多かったです。

撮影:小嶋文子

――その加減については、監督と相談をすることも?

もちろんしました。監督に「今、僕のテンポで進んでますけど大丈夫ですか?」って聞いたり。ただ今回は僕の中で、「『賭ケグルイ』はこうだよね」という思い込みのようなものが出過ぎていたかも、とも。

編集した映像を見たら、現場のテンポよりも早くなっていたりもして、もう少しテンポやリズムを意識しながらやっていかなきゃと思います。

――今作に限らず、お芝居のテンポは大事にしているのですか?

大事にします。リズムが悪いと気持ち悪いな、と感じます。実生活での普段の会話であれば、テンポとかリズムって意識をしなくてもある程度できていると思うんです。

でも、僕らが話しているのはセリフなので、ときどきテンポが気持ち悪いな、とか、なんでそのテンポでセリフを返したんだろう、とか、感じることがあって。

いろんな場面で、いろんなテンポがあるんですけど、それがちゃんと生まれることが必要だと思うんです。

『賭ケグルイ』に関しては、少し特殊なところもありますけど、今回、自分でテンポを作ってみて、反省するところがあったからこそ、(テンポを大事にすることは)必要なんだと思いました。