「大丈夫」という声がけは難しい
――美咲と香織が「大丈夫」と声を掛け合うシーンも胸に染み入りました。
「大丈夫」という言葉も難しいですね。いろんな境遇の方がいると思うし、ただでさえギリギリの状態で頑張ってこられた人が、コロナで道を閉ざされたと思い込むこともあるでしょうし。
でも、たぶんすべてが閉ざされたわけではないと思うんです。いつか絶対に「あの時はああだったね」と言える日が来ると思うので。
――篠原さんご自身は、コロナ禍のステイホーム期間中、心境の変化などはありましたか?
家族とは密にならざるを得なかったので、以前よりももっと近いものになったというか、居心地のいいものになったかなとは思います。
以前は友達や役者仲間と外へ出かけたり、飲んで息抜きをしたりしてきましたが、コロナでそれができなくなりました。
夫は自分と全く違う職業の人ですが、いつの間にか仕事の話もできるようになり、意外とそれが良かったのかなと。
――そういう点では、ステイホームがプラスに働いたのですね。
私自身、ぐーたらして過ごすのは嫌いじゃないので、心が沈むことはあまりなかったほうだと思います。自分だけではなく、みんな仕事がなくて、正々堂々と休みを取れている感じはありました。
もちろん、そんなことを言っていられない方々もたくさんいらっしゃったと思いますし、自分もことごとく映画祭や撮影など、やりたかったことがどんどん飛んでいったので、そこはすごく悔しかったです。
行き詰まったときの、乗り越え方とは?
――本作に出演したことで、篠原さんご自身はどんなメッセージを受け取りましたか?
人に助けを求めるとか、自分の弱さをさらけ出すことはすごく大事だなと、改めて思いました。
命をつなぐため、最後の最後にそれをすることができれば、人は変われる気がします。女の人はとかく自分を幸せに見せたいと思ってしまうこともあるから、なかなか難しい気がしますが、きっと誰だって何かを抱えているとも思うんです。
本当に行き詰まったら、発狂してでもいいので、弱みを晒しまくれば、意外とそこで助けてくれる人がいるはずです。
つらい時だからこそ、大事なこと
――篠原さんご自身は、弱音を吐けるタイプですか?
私は本当に出せないタイプでした。それはプライドなのか何なのかわからないんですけど、今回の撮影ではそこを吐き出して、高畑さんをはじめ、みなさんにすごく助けていただきました。
また、最近も、いろいろと他のお仕事で落ち込んだことがありましたが、試しにその時、弱音を吐いてみたんです。
そしたら家族や事務所の皆さんさんたちが助けてくれました。これはいいなと、今は味をしめてしまった感じです(笑)。でも、コロナ禍だからこそ、周りの人に甘えてみるのはアリだなと、心から思いました。
人生においてのつまずきはきっと誰もが経験していくこと。
渦中にいる時は苦しすぎて、自分だけが突き放されたような感覚に陥ってしまうけど、見渡せば自分への愛情や救いの手があるということを、この映画は気づかせてくれる。
葛藤しながら、小さな希望をつなげようとする女たちから、ぜひ勇気をもらっていただければ幸いです。