芝居を通して「大丈夫」と言ってくれた平野紫耀の存在

撮影:小嶋文子

――ご自身の中で印象に残っているシーンはどこですか?

中学生の石上が会長(平野紫耀)の前で泣くシーンは苦労したこともあって印象に残っています。

これは言い訳だと自分でもわかって言っていますけど、原作だと室内だったのが、映画だと外でのシーンになったんです。そこにちょっと引っ掛かりのようなものを感じてしまったのか、なかなか泣けなくて。

僕、これまで泣き芝居で泣けないってことがあまりなくて。大体、1、2回やったらOKになることがほとんどだったんですけど、今回は何回やっても(気持ちを)入れられなくて。「これはヤバイ……」ってなりました。僕の役者生活で初めての経験でした。

もちろん大切なシーンになるとわかっていたので、今まで以上に前日までに準備もして、「よし、これで大丈夫」って、なっていたんですけど、ダメでしたね(苦笑)。

そのときに紫耀ちゃんがすごくサポートをしてくれたというか。そのシーンは石上と会長との掛け合いのシーンでもあったので、紫耀ちゃんに助けられました。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

泣き芝居って、泣く方も大変なんですけど、それを受ける相手側もすごく大変なんですよ。(泣く側に対して)めちゃくちゃ気を使うし、自分がやってしまったほんのちょっとしたことで相手の集中力を切らせてしまう可能性もあるので気が張るんです。

でもそこで紫耀ちゃんは、僕が硬くなってしまっているところを芝居を通してほぐしてくれて。それって技術とかじゃなくて、人間性が出るところなんですよね。そういうところでの優しさって、お芝居に出てくるんです。

言葉で「大丈夫だよ」って言ってくれたわけじゃないですけど、お芝居で紫耀ちゃんが「大丈夫だよ」って言ってくれているのが伝わってきて。すごくありがたかったし、やっぱり(平野は)大きいなって思いました。ただのふざけている奴だと思ったら、大間違いだぞ、って(笑)。もちろん皆さんそんなのわかっていると思いますけど(笑)。

撮影:小嶋文子

――それから、今回はエンドロールで生徒会メンバーが、主題歌のKing & Prince「恋降る月夜に君想ふ」を踊っていますね。ミニエピソードでも前作の主題歌「koi-wazurai」(King & Prince)を踊っていましたが、よく考えると全員がダンスをやっている、またはやっていたというのが奇跡的だな、と。

これを見越してキャスティングが行われたんじゃないか、って(笑)。たまたまでしょうけど。

――練習はしましたか?

しました。スタジオにスタッフの方が鏡をセッティングしてくださって、練習場みたいなところを作ってくださったので、そこに撮影終わりとかに集まって。振付師の方が来てくれて、紫耀ちゃんを中心にやりました。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――誰が振り覚えがいい、とかってありましたか?

僕と浅川は心配し過ぎて、リハーサルの段階から踊れるように、自分で練習をしてから行ったんですよ。あと影ちゃんもわりと覚えてきていたんですけど、かんかんは「私、覚えてないよ」って感じで来て。それなのに、すぐに踊れるようになったんです。とにかく、かんかんの振り覚えが早いというのはわかりました。

ⓒ2021映画『かぐや様は告らせたい ファイナル』製作委員会 ⓒ赤坂アカ/集英社

――踊ることが決まったときは、どんな心境でしたか?

キンプリの曲を躍らせてもらえることはもちろん嬉しいし、「よっしゃー!」とはなりましたけど、正直、それよりもプレッシャーの方が大きくて(苦笑)。(King & Princeの)ファンの方に失礼のないように、中途半端なことはできないな、と。僕は振り覚えも遅いし、ダンスが得意とは言えないので、頑張りました。