食べていないのにやせない。

食べると太りそうでこわい。

食べたいものを我慢して、逆に食べ過ぎてしまう。

そんな皆さんにお伝えしたいのが「食べてやせる」食事法。しかも、簡単&シンプル&健康的なのです。

それは一体どんな食べ方で、どう実践したらいいのか、『食べて飲んでおなかからやせる』の著者であり、一般社団法人日本健康食育協会代表理事の柏原ゆきよさんに、お話を伺いました。

柏原ゆきよさん

「脂質の多い食事」と「身体機能の衰え」で“おなかぽっこり”に

やせるためには食べる量を減らした方がいい、というイメージがありますよね。けれども、食べる量を減らすのは「長期的にみると良い方法ではない」と柏原さん。

柏原ゆきよさん(以下、柏原)「やせることがゴールではなく、元気で、キレイでいたいですよね。やせたとしても、体調を崩したり疲れやすくなったり、お肌が荒れたり…というのではもったいないと思います。

おなかが出ている状態というのは、おなか周りに脂肪がついているということ。脂肪には、内臓脂肪と皮下脂肪の2種類がありますが、内臓脂肪は食事を整えることで減りやすい。おなかからやせる=内臓脂肪が減る食事法です。

内臓脂肪を減らすためには、余計な脂質を増やさないことが大切です。脂質の比率が高い食事は、内臓脂肪が増えやすくなるのです。

もう1つの太る原因は、食べたものをきちんと消化吸収し、しっかり燃やし、どんどん外に出す、そういった身体の機能が衰えているということです。だから、この機能を整えると、やせていきます。

きちんと燃やして外に出すためには、食べる量を減らすのは逆効果。食べる量が減ればカロリーは減るかもしれませんが、カロリーは身体の燃料なので、少なくなると燃えにくくなり、燃えない身体になってしまう。ですから、燃料をしっかり入れる必要があるのです」

燃料である「炭水化物」をしっかり入れて、きちんと燃やす

では、その燃料は何がいいかというと、やはり燃えやすい方がいい。身体にとっての燃料は、炭水化物・脂質・タンパク質の3種類ですが、この中で一番燃えやすいのが炭水化物だとか。

柏原「炭水化物は燃えやすく、残ったときにも、実はあまり体脂肪にはならないんですね。余った炭水化物は、脂肪ではなくグリコーゲンという形で貯蔵され、後で燃料として使われるのです。

一方で、脂質は余ったらそのまま体脂肪になります。なので摂り過ぎないように、ということなんです。ただし、脂質は身体にとって必要なものでもあるため、控える意識よりも、上手にバランスをとる方法をおすすめしています。

脂質が少ないものを増やせば、結果的に脂質の割合が減ります。脂質の少ない食材の代表格が、炭水化物の多い『ごはん』です」

例えば、ごはん150g(茶わん1杯)が約250kcal、サラダ(野菜100gくらい)が20kcalだとします。そこに調味料などで小さじ1の油が入ってくると約35kcalです。この場合、ごはんに占める油の割合は約15%。けれども、野菜に対して油の割合は約175%にもなります。

柏原「ごはんの場合、燃料となる炭水化物がいっぱいだからよく燃える。そこに15%程度の油が入ってきたとしても、一緒に燃えてしまうのでそれほど影響がありません。

それに対して、カロリーが少ない野菜中心の食事だと、油をとっている意識はなくても、割合としては脂質が多い食事になる。しかもサラダはカロリーが低く燃料が少ないため燃えにくく、油の影響が大きくなります。

油がある食事はおいしいし、揚げ物があったりお肉があったりだと楽しく、元気になれます。でも、ごはんなしでおかずばかり食べていると、脂質の割合が高くなってしまい、油は燃料としては燃えにくく、脂質が多いと体脂肪になりやすい。

そこで一番燃えやすい炭水化物を主体にした、油の影響が少ない食べ方をおすすめしているのです。割合としては、食事全体の中で半分以上が炭水化物、脂質が20~25%。見た目ではざっくり、ごはんが食事全体の6割くらいの量です。そうすると、だいたい脂質が20%くらいにおさまります」