人間を恐怖に陥れるゾンビとそのゾンビを排除しようとする人間との闘いではなく、人間に戻りたいと願い、人間と共存していくことを決意したゾンビが主人公となって、ゾンビの立場から物語が描かれているところがこの作品のユニークなポイント。人間相手に常にびくびくしていたり、顔色の悪さを隠すために一生懸命BBクリームを塗ったり、ゾンビ臭(?)を気にして何度もシャワーを浴びたり香水を愛用したりと、けなげな姿を見せるが、時には人間を食べたくなるゾンビの本性が目覚めてしまい、その衝動を必死にこらえて動物の生肉で空腹を満たすことも。その状況は終始コミカルでありながらどこか切なくて、同情すら芽生えてします。そうこうしながらも、ゾンビならではの特性や身体能力を生かして、主人公が思いがけない活躍を繰り広げては一目置かれる存在になっていくのが痛快で、いつの間にか周囲の人々と絆を深め、互いに思いやるようになる様子は、なんともほほ笑ましい。
一方で、主人公は探偵をしながら、自分がなぜ死んでしまったのか、そしてどうしてゾンビとして蘇ったのかをひそかに探ろうとしているのだが、それがヒロインの追う事件とも微妙にリンクしながら、徐々に意外な真相が明かされていく。その過程ではシリアスでスリリングな展開が続き、ミステリーとしても見応え十分。爆笑、ハラハラ、切なさ、ほっこりの絶妙なミックス具合でエンターテインメント性にあふれ、飽きさせない。
主人公のゾンビを演じるチェ・ジニョクは、これまでロマンス作品で甘い演技を見せたり、シリアスで骨太な役柄を演じたりと、多彩な姿を披露してきたが、これほどコミカルで特殊な役どころは初めて。今までのイメージを大きく覆し、愛すべきイケメンゾンビキャラを誕生させた、その振り切った演技は必見だ。さらに、主人公とヒロイン、ヒロインに思いを寄せる親友を絡めた微妙で奇妙な三角関係も見どころのひとつ。また、彼らを取り巻く登場人物にも、個性爆発の“くせ強キャラ”が勢ぞろいしていて、隅々にまで見逃せない笑いがあふれている。これまでになく斬新な“Kゾンビ”、一見の価値ありです!
『ゾンビ探偵』
U-NEXT、Amazon Prime、FODほか、デジタル配信 全話配信中
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発売元:ポニーキャニオン
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『韓流ぴあ』でも紹介