焼き菓子の他にも、美しいケーキも絶品
『フキアージュ』のスペシャリテをもうひとつ。フランス産発酵バターを用いた「フィナンシェ」(280円)だ。
このお菓子には、アーモンドプードルと呼ばれるアーモンドパウダーを使う店が多い。
「うちではシチリア産アーモンドを業務用フードプロセッサーで粉末に加工しています。挽きたてを使うので、香りがいいと思います」
シャープな歯ごたえが心地よく、噛んでいると芳しい香りが鼻孔からつきぬける。食感はもちろん、香りもよかった。
フィナンシェには別バージョンもある。フランボワーズのピューレとガナッシュを生地に練り込んだ「フィナンシェ ショコラ フランボワーズ」(350円)。
チョコレートの甘みとフランボワーズの酸味が渾然となった、濃厚で奥深い味わいを愉しめる。
焼き菓子のほか、ケーキを2種類選んでもらった。
ひとつ目は「フレジエピスターシュ」(780円)。
店に入ったとき、真っ先に目が止まったのがこのケーキだった。イチゴとピスタチオクリームで作ったと思われるケーキに、フランボワーズやイチゴ、マカロン、エディブルフラワーなどが添えられている。
「ピスタチオクリームはシチリアのブロンテ村産を使っています」
どれから食べるべきか悩んだ末、マカロンからいただくことにした。マカロンに挟んだクリーム(ブロンテ村産ピスタチオペーストのはず)の、まったりとした舌触りとコクが絶妙。フランボワーズとイチゴを食べたあと、ケーキ本体を賞味した。
食感も味わいも豊か。マカロンかフランボワーズかイチゴか。どれを最初に味わうべきか困ってしまう。それもまた愉しい。このケーキには3〜4人分のビッグサイズ(3800円)もある。友人や家族の誕生日ケーキに選んだら破顔してくれそうだ。
ふたつ目は、クリームとオレンジピールをあしらった「チョコレートケーキ」(580円)。
「チョコはコロンビア産を使っています。卵黄を使わず、メレンゲを練り込むことでこれまで食べたことがない、しっとりとした食感のチョコレートケーキに仕上げてあります」
何層なのかわからないが、スポンジケーキの上にガナッシュをのせてある。畠山シェフがいうように、しっとりとしたムースのような食感が舌に心地よい。