故郷への思いが詰まったガレットは、ブリキ缶にも想いが

『フキアージュ』という屋号はフランス語のようだが、畠山シェフが考えた造語だ。

シェフの両親が宮城県気仙沼で営んでいた民宿「吹上荘」の響きから『フキアージュ』と命名。

東日本大震災で実家の民宿を消失。土台だけが残った。かつて気仙沼は塩作りが盛んだったことから気仙沼観光協会がその土台を活用し、製塩所を建造。気仙沼の海水を釜で煮詰めて塩を作っている。

「人を幸せにするお菓子とケーキ」が畠山和也シェフの命題/フキアージュ

「このガレットには、実家があった場所で作られている塩を使っています。あまり知られていませんが、気仙沼には特別天然記念物のニホンカモシカが生息しています。

ガレットのブリキ缶には、宮城県出身のイラストレーターにニホンカモシカを描いてもらいました」

『フキアージュ』のガレット(20枚入り2500円)/フキアージュ

『フキアージュ』のガレット(20枚入り2,500円)には、シェフの故郷への思いも詰まっている。気仙沼産の塩がほんのりとした甘さを引き出し、口どけもなめらか。

はじめて食べた畠山シェフの作品がカヌレだったことから、シェフは焼き菓子専門だと思い込んでいた。けれど、シックな店舗には色とりどりの美しいケーキも並んでいた。

「モンブラン」もうまそうだったが、次回はビッグサイズの「フレジエピスターシュ」を買って帰ろうと目論んでいる。

【フキアージュ】
住所/東京都調布市小島町1-2-5アジャンタ調布1階
営業時間/11時~19時(売り切れ次第終了)
定休日/月火水曜
※すべて税込

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。