食感を消したA5ランクの黒毛和牛のミンチに玉ねぎ、パン粉、卵、牛乳、調味料を加えたものを練る。

もうひとつ、ユニークなレシピを考えた。一般的にハンバーグは、火が通りやすいように生地を薄く伸ばす。中には木の葉型に整形する店もある。ところが、木原社長はあえて薄くせず、空気を抜きながら、丸くすることにした。

これに片栗粉をまとわせ、両面を軽く焼いたらスチームコンベクションオーブンで焼き上げる。

「片栗粉をまぶすことで焼いているときに肉汁がこぼれないだけでなく、喉ごしがよくなり、トロトロ感が増します」

つるんとした食感と喉ごしが心地よかったのは、片栗粉のおかげでもあったのだ。

将泰庵グループ(船橋店、新日本橋店、渋谷店)では、黒毛和牛100%の飲めるハンバーグ(商標登録済)を7年前の創業当初から製品化。飲めるハンバーグ専門店の1号店として、高田馬場店を立ち上げたのだ。

国産黒毛和牛のステーキも提供しているが、まずは飲めるハンバーグを食べてみたい。つるん、ぬるん、とろん。ハンバーグ好きなら、この食感を体験するべきである。と、自称ハンバーグ王子は思うのであります。

肉汁とソースをご飯にかけても誰にもとがめられないはず。むしろこの食べ方を奨励しているような気がする。そのためにもスプーンが用意されているのだ。もちろんスプーンでハンバーグを飲むように食べても誰にも怒られません。

【飲めるハンバーグ 高田馬場店】
住所/東京都新宿区高田馬場2-9-1
電03-6457-3435
営業/11時~15時(14時半LO)、17時~23時(22時LO)
無休(ただし12月30日~1月3日は休み)

飲めるハンバーグはランチ1,100円(ラージ1,580円)、ディナー1,580円(ラージ2,400円)。
A5黒毛和牛のステーキはランチ3,300円~、ディナー3,600円~。スープ付きのライスセットはランチ、ディナー共に350円。

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。