「幼児期に親が先走って知識を与えてしまうと、子どもが小学校に入学した後、授業中に『それ知ってる!幼稚園で習った!』と自慢げに大騒ぎして担任に嫌われてしまう」「既に知っていることを授業で習うと子どもが退屈してしまう」などという噂があります。
果たして本当なのでしょうか?
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな 』の立石美津子がお話しします。
知っているからこそ集中できる
もし、ある外国の歴史の授業をその国の言語で毎日受けなくてはいけなくなったら、どんな気持ちになるでしょうか。
きっと「早く授業が終わらないかなあ……」と、ずっと着席していることが苦痛になり、睡魔が襲ってくるでしょう。
実は、知り過ぎていることで眠くなったり、授業に飽きてしまったりすることはあまりないのです。むしろその反対で、わからないから授業に集中できなくなることは大いに起こりえます。
特に子どもは “繰り返し”が大好きです。例えば内容を丸暗記している絵本を毎日「これ読んで」と持ってくることはありませんか。
筆者は長年、小学校低学年の児童を指導していましたが、算数の授業を一番熱心に聞いているのは算数が得意な子で、国語の授業を一番熱心に聞いているのは国語が得意な子でした。
その教科に苦手意識を持っている子はあくびをしたり、他のことを考えていたりして集中できていませんでした。宿題も苦手意識がある子はやりたがらず、得意な子はどんどんやってくるので学力差が開いていく一方でした。
運動だって苦手ならやりたくないですし、音楽が好きなら音楽をやりたくなりますよね。「好きこそ物の上手なれ」で、「知っているからまた聞きたい」「得意だから興味を持つ」のが人間だからです。