舞台まで1週間と迫ったこの日は、ちょうど通し稽古が行われることになっていた。稽古場にお邪魔すると、すでに伊達政宗役の久保田悠来、真田幸村役の細貝圭、猿飛佐助役の村田洋二郎、武田信玄役の中村憲刀、上杉謙信役のAKIRAらが稽古に入っており、また途中からは織田信長役の窪寺昭、最上義光役の今井靖彦、今川義元役の塚本拓弥らが顔を見せた。また、現場には本番さながらの大掛かりなセットが組まれており、本公演が近いことをいやが上にも実感する。
俳優たちに指示を出すのは、構成・演出・振付を一手に引き受ける西田大輔氏だ。聞くところによると、殺陣のアクションも西田氏がすべて考えているとのことで、俳優からの信頼は絶大なものがあるという。戦国BASARAは単なる時代劇とは異なり、武器の種類が豊富で、なおかつ現実にはありえない形状のものが多い。それらを見栄えよく振り回し、さらにゲームのファンが納得いく動きを取り入れるのは至難の業だ。西田氏がいなければ、舞台「戦国BASARA」は成り立たないといっても過言ではないだろう。
そんな西田氏の指示に従って稽古を進める俳優陣だが、かといって100%言う通りにするだけではない。実際にやってみて、「こうした方がいいのでは」と感じた部分はしっかりと自分の意見をフィードバックし、西田氏もまた俳優陣の意見に耳を傾けて柔軟に演出を変更していくのである。
舞台「戦国BASARA」は初演から数えると、もう4年間続いている長寿コンテンツ。西田氏と俳優陣の掛け合いは、そうした長い時間が育んだ信頼関係から生まれたものといえるだろう。
本公演直前ということもあり、舞台稽古はかなり細かい部分の調整にまで進んでいた。舞台「戦国BASARA」といえば何と言っても一番の売りは派手な殺陣。そのボリュームは他の舞台をはるかに凌駕するレベルで、俳優の肉体的負担も大きいはずだが、彼らの訓練された動きからは疲労がほとんど感じられない。それなりに重い得物を抱えて衣装を身にまとい、声を張り上げながら決められた動きを完璧にこなすというのは、考えてみればすごいことだ。改めて舞台「戦国BASARA」のアクションのレベルの高さを感じることができた稽古であった。