アキラの目に温かさを感じたのは、北村くんだから

撮影/鬼澤礼門

阿部と北村は本作で初共演。57歳の阿部と、24歳の北村。33歳の年齢差だが、カメラの前では年齢もキャリアも関係ない。同じ演技者として、心と心でぶつかり合った。

「阿部さんの懐の深さというか、器のデカさというか、そういう年輪みたいなものを節々で感じました。阿部さんの人としての厚みがヤスと直結していたから、アキラとしても自分としても心が動いたし、阿部さんの言葉一つ一つにとても愛情を感じました。

今この一瞬をヤスとして生きる阿部さんの姿を見て、僕もスタッフさんもみんなついていこうと思った。(監督の)瀬々(敬久)監督と阿部さんの熱量がこの作品をつくったと思います」(北村)

撮影/鬼澤礼門

「北村くんが演じるアキラの目から、ヤスを包み込んでくれるような温かさを感じたんですね。その目を見て本当の親子ってきっとこうなんだろうなと思った。子どもってどこか親を客観視しているところがあるじゃないですか。だから親のダメなところもよくわかっている。

ヤスはダメな父親なんだけど、そんなヤスを見放さず、何も言わないけどそばにいてくれるアキラの姿がすばらしかったし、そこに温かさを感じたのは北村くんだから。北村くんは、人の感情の機微を繊細に表現できる俳優さん。今回一緒にお芝居ができて本当に楽しかった。」(阿部)