自分自身でも見つけた「大人な宮野真守」

撮影/友野雄

今も10代の役を演じることも多い宮野。しかし、今回宮野が演じるシンは、主人公のヒビキを始めとした若者たちを少し離れた場所から見守る兄貴的存在という役どころだ。シンの役をもらったときには「経験を重ねて、大人になったんだな、と感じた」そうだ。

「シンはステージをひとつ経た大人として、少年たちを支えていく、引っ張っていくような役。正直言うと、いまだに若い役をやらせていただくことも多いので、最初はどうアプローチしていくのか戸惑いもありました。音響監督の三間(雅文)さんとはよくご一緒にさせていただいているので、その不安感は声の中からすぐに見抜かれて(笑)。

これまでの経験値から今回の役をくださった。だから難しく考えることなく、自分の経験則の中で若い子たちにどう接していくか、というのを出せればということで、とても丁寧にテイクを重ねて録ってくださいました。その中でだんだん『シン』を見つけていくことはできましたね。 この役を通して、自分自身もしっかり大人になれてこれてるんだな、と感じられたことはありがたい経験になりました」

撮影/友野雄

そんな宮野が気に入っているのは広瀬アリス演じる女性科学者・マコトとのシーン。

「空気感が好きなシーンです。自分でもシンさんのシンさんらしさをみつけられた気がして。話しかけ方、話題の切り出し方を見ても大人の対応というか。物語全体を通しても、他とは違う質感を見せてるシーンですね」

宮野自身も年齢を重ね、現場でも後輩と一緒になることが増えている。年長者というポジションになったときに、気をつけていることはあるのだろうか。

「背中を見せられればいいな、というふうには思っていますね。必要以上に絡まないというか……お芝居でちゃんと見せられるように。やっぱり、自分がすごいな、と思ったものからしか学べじゃないですか。だから『すごい』と思ってもらえるような背中を見せられるように頑張っています。

ただ、現場は楽しいほうがいいな、と思っているので、そういう絡み方はするかな(笑)」