マイク慣れした歌声から脱皮できたのは「客席の最後列に届けたい」という気持ち
──稽古の密着動画を拝見すると、玉野さんや音楽と歌唱指導を手がける森さんから「マイク慣れしていて声量がない」と指摘されていました。その後、小嶋さんは「お腹から歌うこと、力を入れる場所がわかってきた」とおっしゃっていて手応えをつかんでいらしたようですが……皆さんそれぞれ、どうやって乗り越えていかれたのでしょうか?
川上 いつもの肺呼吸を腹式に変えるのが難しかったです。でもある日、遠くに立った森先生が「僕に届けるように歌って」とおっしゃって。そのレッスンを繰り返すうちに、「客席の最後列にまで届けたい気持ちがあれば大きい声は出るんだ」って実感できました。
上西 私はそのレッスン以来、劇場公演に対する意識が変わりました。マイク越しじゃない、お腹から出す声をファンの皆さんに届けたいと感じるようになって。そうしたら、玉野さんからも全体に向けて「少しずつ声が大きくなってきたね」って褒めていただけるようになって嬉しかったです。
小嶋 「大きな声を出すの恥ずかしい」とか「自分にはできない」みたいな気持ちがあるだけで、絶対に声って出ないんですよね。だから羞恥心や自信のなさが無くなった瞬間に、まず声を精一杯出してみるんです。
出し方が合っているかわからないし、100%正解ではないかもしれないけど……少しずつ「あ、声ってこうやって出していくんだ」ってコツがどんどん掴めてきて。それで「あ、いま少しずつお腹が使えるようになってきてる!」って感覚になる。
渋谷 そうそう! 声が通るようになると、バラエティにめっちゃ活かせるんですよ。コロナ禍での番組収録はアクリル板があったり、タレントさん同士の距離も離れていて。私、少し前まで声が細くて小さかったから、端っこから喋ろうとしてもMCの方に気づいてもらえないことが多かったんですね。でも最近は「あの、私!」って声が通って、エピソードトークできる機会が増えました。
──特に渋谷さんは、森さんとの個人レッスンで地声よりだいぶ芯のある歌声を披露していらっしゃいましたよね。動画で拝見して。
渋谷 もともとキレイにかわいく歌おうと、守りに入っていたんですね。でも森さんから「その自意識はいったん横に置いて、お腹からしっかり声を出して届けよう」とご指導いただいて歌ったら……動画でお聞かせしたような歌声になりました。
私からすると、あの声は乱れているから「歌声的によくないんかな?」「キレイじゃない」と感じて不安だったんですけど……森さんから「その声がいい」というお言葉を頂戴して。いま少しずつ自信に変えている最中です。