こういう映画をよりたくさんの方に観ていただくためにも、僕はドラマに出演している

撮影/小嶋文子

――磯村さんは本作のような社会問題を切り取ったような作品もあれば、現在放送中のドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~(じぞ恋)』(TBS系)のようなラブストーリーにも出演されています。例えば、『じぞ恋』で磯村さんに興味を持った方が、この『PLAN 75』を観てくださることで、高齢者問題への解決に一歩近づくとか。そんな考え方をすることはありますか。

もうそのまま書いていただければ、僕が答えることはもうありません(笑)。でもまさにそういう考え方もあって。『PLAN 75』のような社会的なメッセージのある作品は今後も出演したいと思っています。でもそういう作品にばかり出ていると、観てくれる方が偏っていくとも思っていて。

こういう映画をよりたくさんの方に観ていただくためにも、僕はドラマに出演していて、僕自身のことをより多くの方に知ってもらう機会を作りたいと思っています。もちろん、ドラマに出演する理由はそれだけではないですけど、そういう考えもあります。

今回のような社会派の映画を観に行ってもらえる道を作って、一緒に今起きている問題や、未来について考えてくれる人たちを増やさなくてはとも思うので、そういう意味でいろんな作品をバランスよくやっていけたらいいな、と思っています。

撮影/小嶋文子

――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

『PLAN 75』は、75歳以上の人が死を選択できるというお話ですが、単にそれだけではなく、“生きる”ということに対して何かを感じられる作品になっていると思うんです。

だからこれを観てくださった方が、今一度自分の人生であったり、この先の人生というものをどうしたいか考えてもらえたら……まあそこまで考えなくても、少しでも自分自身というものと向き合う時間を作るきかっけになれたら嬉しいです。

この“PLAN 75”というアイディアを生んだのも、社会全体の問題だと思うので、より今起こっていることに対して視野を広げてもらって。特に若い方には観ていただきたいですね。何かそういうことを考えるきっかけにこの映画がなれたらいいなと思っています。

本作は倍賞千恵子さんが演じる主人公のミチが、“プラン 75”を通して“死”と向き合う姿を軸に、さまざまな人たちの想いが描かれています。人は何のために生きるのか――そんな永遠の命題を改めて突き付けられる想いもあります。

軽い気持ちで観ることができる作品とは言い難いですが、磯村さんの言うように「自分自身というものと向き合う時間を作るきかっけ」の一つとして、劇場に足を運んでみるのはいかがでしょうか。

作品紹介

映画『PLAN 75』
2022年6月17日(金)全国ロードショー