山本直樹の伝説のカルト的コミックを、『アルプススタンドのはしの方』(20)、『女子高生に殺されたい』(22)などの城定秀夫監督が映画化した『ビリーバーズ』。
信仰心と欲望の間で揺れ動く男たちを怪演
とある無人島で生活する、2人の男と1人の女。「ニコニコ人生センター」という宗教的な団体に所属している3人は、「オペレーター」「副議長」「議長」と互いに呼び合い、無人島での共同生活を送っていた。
瞑想、昨晩見た夢の報告、テレパシーの実験、といったメールで送られてくる不可解な指令“孤島のプログラム”を実行し、時折届けられる限られた食料でギリギリの生活を保つ日々。
それらは俗世の汚れを浄化し、“安住の地”へ出発するための修行だったのだが、ほんの僅かなほころびから、3人は徐々に互いの本能と欲望を暴き出してゆき……。
そんな衝撃的な内容の本作で、純粋な信仰心と欲望の間で揺れ動くもともとは普通の青年だった「オペレーター」に扮して映画初主演を果たした磯村勇斗と、次第に狂気と欲望を暴走させる「議長」を怪演した宇野祥平を直撃!
充実の撮影を振り返りながら、本作への想いを語ってもらった。
――『ビリーバーズ』の出演のオファーを最初に聞いたときはどう思われましたか?
磯村 僕はお話をいただいて、台本を読む前に山本直樹さんの原作のコミックを読んだのですが、正直、この衝撃的な原作をどうやって映画化するんだろう?って思いました(笑)。
でも、読み進めていく手が止まらなくて、この世界をどんどん知りたくなったんです。
その後台本を読んでみたらその原作の世界観が忠実に再現されていて。
これはどういうことなんだろう? という“?マーク”もすごくあったんですけど、形にしたら何かが見えてくるんだろうなという好奇心の方が強かったので、とにかくやってみようと思いました。
宇野 僕は山本直樹さんの漫画が好きだったので、この話をいただく前から原作を読んでいたんですけど、最初に『ビリーバーズ』が映画化されるってことにまずは驚きました。
しかも、城定監督が撮られるということで、自分が参加する嬉しさもありましたけど、ふたりのファンとしては実写化された『ビリーバーズ』をとにかく観たいという気持ちが強かったですね。
――磯村さんが演じられた「オペレーター」も宇野さんが演じられた「議長」も特殊な設定の特殊なキャラクターですけど、そこに役者としての面白さややり甲斐みたいなものもありましたか?
磯村 ありましたね。もう、面白さしかなかったですね。僕の好きな世界観でしたし、でも自分が通ってきていない設定のキャラクターだったので、いいチャンスだと思いました。
「オペレーター」を演じることで、またひとつ、俳優として発見できるものがあるんじゃないかな? とも思えたので、すごくやり甲斐のある作品でした。
宇野 僕は、特殊な環境にいる特殊な人たちの話ではなく、普段自分達が思っている気持ちがそこにはあると思いました。
1人でもなく2人でもなく、3人からはじまるのが、とても面白いと思います。