そもそも、なぜバターロールのソフトクリームなの?
でも、なぜバターロールに塩味があるんだろう? 副店長の石井雄太さんに尋ねた。
「うちのバターロールは無塩バターと有塩バターを併用しています。無塩バターを練り込んだ生地を巻く際、棒状に切った有塩バターを芯にいれます。成形後、無塩の溶かしバターを塗り、オーブンで焼いています」
塩味の正体は、芯に巻いた有塩バターだった。ソフトクリームだけをなめても塩味を感じないが、パンと一緒に食べると塩味と甘味が入りまじった、不思議な味わいを愉しめるというわけ。
もうひとつわかったことがある。はじっこを切った際、バターロールの中心に穴があいていたのは、有塩バターが溶けた跡だった。
そもそも、なぜバターロールのソフトクリームなの?
「子どもの頃、遊園地でソフトクリームを食べませんでしたか? 溶けないうちに急いで食べたりして……。そんなドキドキワクワク感をバターロールで表現したいと思い、昨年の夏、店をオープンする前から『バターロールソフトクリーム』の製品化を考えていました」
じつは、この「バターロールソフトクリーム」でもドキドキワクワク感を味わえる。
「バターロールもおいしく食べようと思ったら、なるべく早く完食してください」
のろのろ食べているとソフトクリームが溶け出し、せっかくのバターロールが台なしに……。
もちろんテイクアウトには不向き。イートインコーナーで座って食べることもできる。
ほかにもある!この店で買いたい「看板メニュー」
この夏の看板メニューがもうひとつある。
「パン生地に、シチリア産レモンの皮とクルミを練り込んだ『レモンとクルミのバターロール(250円)』を食べてみてください」
レモンの爽やかな香りとほのかな酸味が後を引く。これにクルミのカリカリとした食感が相まって、とても心地よい。
「このパンを食べつつ、バターロールソフトクリームを齧るのが、この夏の僕のマイブームです(笑)」
しまった、その手があったか。先のソフトクリームを食べちまったぜ。次回、挑戦しよう。
「昨年の取材では、『ラム酒香る大人のメロンパン(290円)』を食べていただいたと思います。4月にその新作『いちごぱん(380円)』を発売しました」
そうそう、思い出した。メロンパンといってもここはバターロール専門店。
バターロールにメロンパンのような生地をのせて焼いてあった。齧るとラム酒味のシロップとカスタードクリームが口のなかいっぱいに溢れ出す、よそでは食べられないメロンパンだった。
「いちごぱん」には、イチゴクリームをはさんだバターロールに、イチゴのクッキーをのせて焼き上げてあるという。パンでありながら、スイーツのようでもある。パン好きもスイーツ好きも喜んでくれそうだ。
バターロールはそのまま食べたり、サンドイッチにするしかないと思われてきた。
そんな既成概念をくつがえしてきた『パーカーハウスバターロール』が、まさかバターロールのソフトクリームを製品化するとは……。
常識はずれかもしれないが、うまいものはうまい。
【PARKER HOUSE BUTTER ROLL(パーカーハウスバターロール)】
住所/東京都中央区新川1-1-7 GEMS茅場町1F
電話03-6262-8484
営業7:30〜19:00(土9:00〜17:00)
定休日/日曜、祝日