ボルシチはウクライナ料理
2022年7月1日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が、ボルシチをウクライナ発祥として無形文化遺産のリストに登録した。
長年、日本人の多くがボルシチはロシア料理だと思い込んでいたが、じつはウクライナ料理だった。
無形文化遺産のボルシチをはじめとするウクライナ料理を食べさせてくれるレストランが、武蔵野市吉祥寺にある。
ウクライナ出身のエウゲニアさんと夫アントンさん、エウゲニアさんの妹ビクトリアさんと夫の小笠原裕典さんが営む『Babusya REY(バブーシャ・レイ)』だ。
土日祝のランチ限定でウクライナ料理を提供
ビクトリアさんは7年前、日本に語学留学し、小笠原さんと結婚。
エウゲニアさんとアントンさんは3月末、12歳の息子と両親と一緒に、ビクトリアさんを頼り東京に避難してきた。
現在、エウゲニアさん一家は都営住宅に住んでいる。家賃こそ無償だが、食費や光熱費などが発生する。
そのため小笠原さんの弟が経営するバーで、土日と祝日のランチ限定でウクライナ料理を提供することにした。
お母さんのナターシャさんが自宅の台所で仕込んだ料理を、姉夫婦とビクトリアさんが調理したものを食べさせてくれる、ウクライナの家庭料理屋だ。
ウクライナでは夏は冷たいボルシチを食べるそうだ。
ビーツ、ディル(ハーブの一種)、牛肉、キュウリ、ゆで卵、ジャガイモで冷たいボルシチを作り、仕上げにサワークリームを添えたものが、「スヴェコルニク」(800円/すべて税込)だ。
昔、都内のロシアレストランでボルシチを飲んだことがあるが、「スヴェコルニク」は初体験。
牛肉のダシで作った冷たいボルシチはのどごしが爽快で、ビーツのシャキシャキ感が印象的だった。
けれど、ボルシチと、スヴェコルニクは何がどう違うのか。
「ボルシチはトマトとビーツのミックス。スヴェコルニクはビーツだけで作り、トマトを使いません」とビクトリアさん。
ボルシチはトマトが入るため、もう少しオレンジ色をしているそうだ。
ちなみに、「ボルシチ(1000円)」には、「パンブーシュカ」と呼ばれるガーリックバターパンと、ビーツと豆のサラダが付いてくる。
ボルシチ、水餃子、ロールキャベツが三大ウクライナ料理だと、手元の資料にある。
ロールキャベツはメニューにはなかったが、水餃子「ヴァレニキ(700円)」は載っていた。