デザートは『ストロベリーミックスのヴァレニキ』と『手作りチーズのクレープ』

【吉祥寺『Babusya REY(バブーシャ・レイ)』】「ストロベリーミックスのヴァレニキ」。水餃子のデザートがあるとは思わなかった

「デザートの『ストロベリーミックスのヴァレニキ(700円)』も召し上がってください。

ウクライナではサクランボを使いますが、日本はサクランボが高いため、ストロベリーやラズベリーなどが入ったミックスベリーを煮込んだものをヴァレニキで包んであります」(ビクトリアさん)

さっき食べたヴァレニキと同じような皮だが、デザートだけに皮に砂糖を使っているそうだ。

揚げることもできるが、ウクライナではゆでるのが一般的。

これをストロベリーを添えたヨーグルトを付けて食べる。プルンプルンな食感で、面白い味わいだった。

もう一品食べてほしいデザートがあるというので作ってもらった。

「『手作りチーズのクレープ(500円)』です。この料理にはトヴァローグというチーズを使うのですが、日本では手に入りません。牛乳に塩とレモンを加え、煮込んで作ります。クレープの皮も手作りです」(ビクトリアさん)

【吉祥寺『Babusya REY(バブーシャ・レイ)』】甘いものが苦手な人でも「手作りチーズのクレープ」なら喜んで食べてくれそう

自家製のチーズはカッテージチーズのような風味だった。甘みが弱いチーズのクレープ巻きを、ストロベリーを添えたヨーグルトを付けて賞味する。

ビーツなど、ウクライナで食べられてきた野菜の大半が日本でも栽培されているが、このデザートに使ったチーズのように日本では入手できない食材もあるという。冷たいボルシチに添えたサワークリームもそのひとつだ。

「日本のサワークリームはウクライナよりも濃いんです。ヨーグルトを混ぜ、ウクライナのサワークリームに近づけています」(ビクトリアさん)

ニンニクが入ったサワークリームもあった。日本人向けにニンニクなしのサワークリームも用意しているそうだが、せっかくなのでウクライナ流に食べるべきかも。

最後に店のトレードマークを紹介する。

【吉祥寺『Babusya REY(バブーシャ・レイ)』】ビクトリアさんが日本在住のロシア人の友人に描いてもらったイラスト

お箸でヴァレニキをつまんでいるだけのイラストだと思ったが、とても深い意味があった。

よく見るとお箸にはウクライナ国旗が描かれている。お箸を持つ人が着ている服は、袖口にウクライナの伝統的な刺繍が施された、祖国の民族衣装だ。

そしてもうひとつ。

イラスト全体に日の丸が描かれていた。

「食を通して日本とウクライナの架け橋になれれば、という思いが込められています」(ビクトリアさん)

店にはウクライナ人はもちろん、ロシア人もアメリカ人も食べに来る。ウクライナにもロシアにも1日も早く平和が訪れる日が来ることを祈っている。

【吉祥寺『Babusya REY(バブーシャ・レイ)』】ウクライナ国旗が掲げられた、この看板が目印。「Babusya」はウクライナ語でおばあちゃん。「REY」は小笠原さんの弟が営むバーの名前

【Babusya REY】

住所/東京都武蔵野市吉祥寺本町1-25-4 吉祥ビル2F

営業時間/土日祝日の11時〜15時

臨時休業する場合もあるのでInstagramを要チェック

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。