神楽坂のレストラン御用達のパン屋が神楽坂にある。
『パン デ フィロゾフ(以下、フィロゾフ)』だ。ミシュランシェフも含め、そうそうたるレストランやワインバーのシェフが、『フィロゾフ』の榎本哲シェフが焼いたパンを愛用しているのだ。
「シェフに頼まれたオリジナルのパンを焼いているレストランもあれば、うちで販売しているパンを使ってもらっている店もあります」
『フィロゾフ』の一番の特徴は、榎本シェフ自身がおいしいと思うパンを提供しているところにある。
絶対的に自信があるパンのなかから特に食べてほしいと思うパンを榎本シェフに5つあげてもらった。
『フィロゾフ』で特に食べてほしいパン5つ
店の看板「クロワッサン」
まずは、創業当初、店の看板といわれた「クロワッサン(320円)」から。
「一般的にクロワッサンの生地は16層か27層で作ります。うちのはちょっと変わっていて、フランス産APO(原産地保護呼称)の発酵無塩バターで作った生地を24層に重ねて作るのが特徴です」
素人には層の数による味の違いがわからないが、この店のクロワッサンはサクサクで層に深みがあった。無塩バターを使っているため塩味がない分、小麦の甘味を存分に感じる。一度は食べるべき『フィロゾフ』の顔だと断言できる。
モチモチした食感の「アルファ・バゲット」
最近、バゲットが人気だそうだ。長いバゲットも焼いているが、榎本シェフのおすすめはやや短い「アルファ・バゲット(280円)」だ。
北海道産キタノカオリに、カナダ産小麦の石臼挽きをブレンドしているという。
「その小麦粉を湯種と呼ばれる製法で仕上げています」
湯種は食パンなどに採用されることが多い製法だ。小麦粉の一部に熱湯を加えてこねたものをひと晩寝かせる。
熟成させることで、モチモチした食感のパンになる。
「うちが世界で初めてバゲットに湯種を使ったんじゃないかなあ(笑)。モチモチ感に加え、デンプンの甘味、クラスト(皮)の薄さを愉しめると思います」
バターを塗らず、そのまま食事パンとして食べてほしいそうだ。
「洋食はもちろん、ご飯のような甘みがあるので和食にも合います」
サンドイッチにもおすすめ。生ハムとチーズ、たとえば白カビのチーズをはさみ、トリュフオイルをたらすとおいしいそうだ。