ロンドンの台所、バラ・マーケットへ
ヨーロッパの旅が終わりに近づいてきた。最終日はロンドンの庶民の味を堪能すべく、市場に出かけた。
イタリアの市場は台湾や韓国などのアジア諸国と少し似ていて、道端に泥がついた野菜が並んでいたり、鮮魚屋台の周りが水でびしょびしょだったり、活気と生活感であふれていた。
ロンドンにも市場があり、なかなかの賑わいであると聞いて午前中に足を運んだのはバラ・マーケット。
有名なロンドン・ブリッジの近くにある大規模な市場で、なんと1000年近い歴史を誇るとか。さすがはヨーロッパ、歴史の重みが違う。
古いとはいえ、バラ・マーケットはとても洗練されたモダンな市場だった。
ロンドンというのは歴史の古い街だが、とにかく手入れが行き届いている。昔の姿のまま古いものを保存したり、おしゃれにリニューアルして再生したりするのが得意だ。
バラ・マーケットは観光客だけでなく、通勤がてらにパンとコーヒーを買い求める地元の人の姿もちらほら。イタリアのように野菜や魚介も扱っているのだが、どの店も清潔感がある。
絵になる野菜や気の利いたパッケージングにうっとりしてしまう。
チーズがかかった大きなプリッツェルとホットコーヒーを買って、食べ歩きをしながらテムズ川にかかる巨大なロンドン・ブリッジを眺める。
ロンドンの街はすでに動き出していて、地下鉄の駅へ急ぐ人たちやタクシーが通りを賑わしている。ちょうどいい生活感と緊張感のある街だ。
元教会の華麗なる変身
街なかに変わった教会があると聞いて行ってみた。
イタリアにもアイルランドにも教会はとても多かった。よく訪れていた台湾にはいたるところに廟があり、地元の人々が気軽にお参りをしていたが、ヨーロッパには大小さまざまな教会があり、それが人々の精神的支柱になっているようだ。
私がこの日訪れたのは、「元」教会。外からみると古めかしいが立派な建物で、中にはステンドグラスやキリストの絵画が健在なのだが、なんと外装や内装をほとんど変えることなく「メルカート・メイフェア」というフードコートになっている。
台湾の台北市内には境内でお酒を飲める廟があったが、ここは教会の中でランチができる。
しかも、多国籍なフードメニューがそろっていて、ピザやハンバーガーはもちろん、タイ料理やイスラム料理、日本料理もあるし、料理と一緒にワインやビールも楽しめる。
教会の建物の中でお酒を飲むという背徳感も手伝って、いつもよりも気持ちが高揚する。