撮影:上飯坂一

ライブ後半、『GOODBYE ROAD』はいつもとは異なる意味合いを持って、胸に迫る曲となった。曲が終わって、JAYが「このパートが好き」と言って「같이 울기 위해 널 만난 건 아닌데(一緒に泣くために出会ったわけではないのに)〜」と歌い出すと、会場の観客も「잘 가요 그 험한 이별길을(さよなら険しい別れの道を)〜」と続ける。そんなしんみりムードを打破するかのように、BOBBYは「でも、GOODBYEじゃないですよ。GOODBYEじゃなくて、SEE YOU AGAIN」と言って会場を笑わせ、それにはJAYも「いいこと言うなあ」と笑顔に。さらにBOBBYが「俺、天才だから!」とまぜっかえし、会場はさらに大きな笑いに包まれた。

本編終盤では、『WHAT’S WRONG?』『DUMB & DUMBER』『B-DAY』で爆発的な盛り上がりを見せ、最後は「僕たちの青春は皆さんが作ってくれました」というJU-NEの言葉で『FREEDOM』がスタート。銀テープが舞い落ちる中、メンバーがステージを走り回り、大はしゃぎする姿はいまだ青春真っ只中のiKONを感じさせた。

会場全員がアカペラで『LOVE SCENARIO』を歌ってアンコールを乞う中、ステージに登場したBOBBYが「一緒にドライブしようか」と言って歌われた新曲『Driving slowly』。その曲中、客席では「心配しないで。戻ってくる場所は私たちが絶対に守る」と書かれたプラカードが掲げられていた。そのサプライズにSONGは目をうるませ、DKはニコニコ笑顔、CHANは腕を組みながら感動した表情を見せていた。そしてJAYはプラカードのメッセージを読み上げ、「絶対に戻ってきますよ」と笑顔を見せた。

「今日は泣かないようにがんばりました。なぜなら、誰かを待つのは幸せなことだと思います。だから皆さんもぜひ笑顔で僕たちのことを待っていてください。僕たちも笑いながら、悲しまないで、皆さんのことを待ちますので」とJAYが最後まで笑顔でライブを終えようとする中、「手紙を準備しました」とメンバーがJAYへの手紙を準備してきたことを明かすと、これには「普段こういうのしないじゃん、お前ら」とJAYも苦笑い。

「10代から30歳になるまで一緒にいてくれてありがとうございます。お前のおかげでたくさん学んだよ。韓国はお前に任せたぞ。またすぐ会おう。愛してるぜ」(BOBBY)

「ヒョンのいない空間が大きく感じられるけど、iKONは変わりなくがんばっていくから、病気とかしないで健康で行ってらっしゃい」(SONG)

「8年もの間、iKONを引っ張ってくれてありがとう。ジナン兄さんが少しいない間、僕たち5人とiKONICが元気に待ってるからね。愛してるよ」(CHAN)

「ヒョンを少しの間、見送らなければならない瞬間がくるなんて、なんか気持ちが変だよ。これまでiKONの活動をしながら、ヒョンがいたから楽しかった瞬間が多かったと思う。いつも感謝してるよ」(JU-NE)

「10年も一緒に時間を過ごしたね。こうやって離れて過ごすと思うと変な気分だよ。怪我せずに元気に帰ってくると信じてる。いつも長男として大黒柱のように構えてくれて、大きな力になってくれてありがとう」(DK)

という温かいメッセージに、JAYも涙をこらえきれずに号泣。全員で抱き合いながらそのままぐるぐる回りだすが、その後もしばらくJAYはDKに抱きついたまま、涙を止めることができなかった。

そして「今、これを言ったら空気読めないやつになりますよ、俺」と言いながらも「最後に皆さんに告知があります」とBOBBYが苦笑しつつ、10月に東京と大阪でアンコール公演が決まったことを発表。JAYも「僕のメンバーをよろしくお願いします!」と残りのメンバーで開催するライブへの温かい応援を求めた。

「今からパーティだぞ!」というBOBBYの叫びでスタートした『BLING BLING』では、JAYがステージの端から端までゆっくりと歩きながら、目の前にいるファンにも遠くにいるファンにも等しく手を振り、目を合わせ、一緒にハートを作ったりしながら気持ちを通わせあっていた。そんな中、BOBBYがJAYに水をぶっかけると、「もうすぐ他のメンバーもやるよ」と予告。そんな言葉通り、続く『RHYTHM TA』ではイヤモニを外して会場の大きな歓声を聴いているJAYにCHANが水をかけ、「みんなの声が聴きたいです」というJAYの言葉で始まった『LOVE SCENARIO』ではDKがJAYに水をかけた後にタオルを渡し、アフターケアも完璧。アンコール3曲が終わるころには「ホテル帰ってシャワーしなくていいよ」(JAY)というほど、びしょ濡れになっていた。

そして「最後の曲です」と始まった『Tantara』の後、BOBBYが「『PARADISE』やってもいいですか? みんなでやるよ!」と急遽、JAYのソロ曲『PARADISE』がファイナル公演のラストを飾ることに。JAYのダンスに合わせて途中で一緒に踊るメンバー、ただ眺めるメンバー、それぞれ自由に、けれど熱心に、JAYのパフォーマンスを見つめていたのが印象的。客席も、この日できたばかりのコールを大きな声で叫んで、JAYのステージを応援した。

最後にはBOBBYがJAYを肩車すると、JAYは「またね!」と挨拶。メンバーが一人ひとりステージから去っていく中、最後まで残ったJAYはステージから大きな声で「行ってきます!」と叫んで、この日の公演は終了した。「6人一緒の旅路が少しの間止まってしまうけど、かっこいい姿で戻ってきて、iKONICの前に立ちましょう」とDKが手紙で語ったように、6人全員が再び揃うまで、iKONとして活動を続けるメンバーを見守りながらその日を待ちたいと思わせてくれるライブだった。

アンコール公演

2023 iKON WORLD TOUR [TAKE OFF]
【東京】
2023年10月7日(土)・8日(日)
武蔵野の森 総合スポーツプラザ
(〒182-0032 東京都調布市西町290-11)

【大阪】
2023年10月11日(水)・12日(木)
大阪城ホール
(〒540-0002 大阪府大阪市中央区大阪城3-1)

※アンコール公演のチケットはチケットぴあにて発売予定。詳細は後日発表。

ファンクラブ情報

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1977年、東京生まれ。出版社勤務を経てフリーランスの編集・ライターに。たまに翻訳・通訳も。著書に『K-POPアイドル&ヲタあるある』(共同編集)、翻訳著書に『L'S Bravo Viewtiful1,2』(日本語訳)など。音楽、映画、テレビと何でも好きなエンタメ雑食。K-POP界隈はアイドルを中心にバンドのライブにも足を運ぶ。ソウルと東京のうまい店探しが趣味。

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