不機嫌さを当たり前に出す彼への戸惑い
少しのすれ違いでも、Aさんが指摘すれば彼が「すぐに」不機嫌になり会話が進まなくなることが繰り返され、最初は順調に思えた交際はだんだんと雲行きが怪しくなります。
「それでも私は彼のことが好きで、どんなことでも努力しようと思っていました」
何度もこう口にするAさんは、彼の経験のなさをカバーする気持ちで「私の部屋に持ち込むお酒の本数を決める」「『お互いに楽しめる話題ならOK』と言った彼の気持ちを汲んでふたりで盛り上がる話題だけ限定してメッセージを送る」と、やり方を変えていきます。
「寂しいし苦しいけれど、こういう人もいるのだ、と自分に言い聞かせていました。
私が変われば彼も態度を変えてくれるかもしれないと思っていたのですが、実際は逆で、私が折れるほどに彼の身勝手さが増していく感じでしたね」
Aさんが何よりつらかったのが「すぐに不機嫌さを見せてくる彼の姿」で、衝突の原因が彼であってもかたくなに謝らないし、Aさんが折れない限りその場で別れを迎えてしまうような険悪な空気が流れることが、本当に悲しかったといいます。
「お互いにいい大人なのに、ダダをこねる子どもの機嫌をとるような虚しさがあって、結局は私が関係をリードしないと続かないのだ、と気が付きました。
どんなことでも不機嫌になれば私が折れてくる、そんなのを繰り返していれば、いい方向に変わろうなんて彼が思うはずないですよね……」
その時点でお付き合いが始まってから3週間が経っており、交際するまではこんなことはなかったのに、とAさんはどうすればいいかを考え続けたそうです。
「自分の姿が私にどう見えるかとか、どんなショックを与えるかとか、まったく想像していないのだなと思いました。
おそらく彼にとってはそれが『ありのままの自分』であって、悪いとか思っていないし『好きなら受け入れるのが当然』にしているのかも、と考えたら、お付き合いを続けるならずっと私だけが我慢することになる想像しかできませんでした」
それが「彼とうまくいくやり方」なのだ、と思ったときに、Aさんのなかに好きだけれど「諦める」選択肢が浮かびます。