「好き」だけでは続かないのがお付き合い
気がつけば、「好きなだけ飲めないから」とAさんの部屋に泊まることも断られ、LINEでは彼が返事をしやすそうな話題ばかり考えてふたりの気持ちや自分のことは何も書けない状態。
彼の振る舞いに違和感を覚えても「不機嫌になられたら面倒くさいから」と何も言わない自分が当たり前になっており、「いま振り返ると本当に窮屈でしたね」とAさんはため息をつきます。
それでも、いわゆる「彼のテンションが普通の状態」のときは好きと言ってくるし平日の仕事終わりのデートも楽しいし、そちらに集中することでAさんは自分のつらさを押し込めていたといいます。
「別れたほうがいい、ともうはっきり思っていたのですが、どんな理由で終わることを彼に言えばいいか、今度は怒り全開で嫌なことを言われるに違いないと思うと気が滅入ってしまい、逃げていました」
自分なりに努力をしている、「彼とうまくいくやり方」を掴み彼を幸せにしている、と自分に言い聞かせる一方で、「本当は少しも幸せではない自分」もくっきりと見えており、その葛藤は「彼のことが好き」という気持ちが消えないからこそ強く、苦しかったのではと思います。
別れの決定打になったのは、週末のデートで映画館に行こうと決まっていたのに彼が直前になって「映画を観るのは疲れるからやめたい」と言い出し、それに対してAさんが「楽しみにしていたのに残念」と返したら「そんなときもあるだろう。こっちの都合は無視するのか」といつものように不機嫌になった彼を見たときでした。
「ああもうダメだ、と思いました。
どれだけ彼のことが好きでも、何か言えば自分を否定されたように受け取って攻撃してくる彼を見たら、寂しさを伝えることも私は封じられているのだなと。
その場で『ごめん、もう無理』と彼に言い、彼の返事は待たずに帰りました」
Aさんの言葉に彼は一瞬ひるんだように見えたそうですが、その後どうなったか、彼からはいっさいの連絡はなく今も音信不通だそうです。
「正直に言えば、解放感でいっぱいでした。
LINEで文句を言ってくるかなと思ったけど、別れたくないって気持ちじゃないなら返事をする義務もないと私は考えていたし、あんな人と付き合うのは無理です。
好きだけど、それだけじゃどうにもならないのですよね」
Aさんは寂しそうに笑いますが、この年齢までまともに女性と付き合えたことのない彼の状態を目の当たりにして、その理由も何となくわかったといいます。
「結局、何かあっても乗り越えることができないのですよね。
彼とは話し合うことが無理で、何かあればすぐ不機嫌さを全開にして私の頭を押さえつけるような感覚で、これに向き合い続けるのはよほど強い女性じゃないと難しいのでは、と思いました」