兼近大樹(EXIT)との共演シーンが「一番好きでした」
――演じていて印象に残ったシーンは?
ここではたぶんキラキラしたシーンを言うことが正解だと思うし、とても魅力的なんですけど(笑)、僕が洸を演じたなかでは、やっぱり洸が抱えている過去の部分が大きくて。
洸の兄の田中陽一役を演じた兼近(大樹/EXIT)さんと夕食にカレーを食べるシーンが一番好きでした。今でも撮影風景を思い出せるくらい。撮影の前日から台本を読んでいるだけで涙が出ていました。
特に、陽一が洸に向かって「俺らのお母さん、そんなに心の狭い人じゃなかったよ」と頭をポンポンと叩きながら言う言葉で、これまでの洸が全て救われた気がして。このシーンの前に、お母さんが病気で亡くなってしまうところも撮り終えていたので、そういう場面もフラッシュバックしました。
原作でもドラマの中でも具体的には描かれていないお母さんとの思い出が、その一言で浮かび上がってくるような感覚もあって、本番前の段取りの段階から必死で涙を堪えていました。
頭をポンポンしてくれた兼近さんの手が本当に温かくて、普段は面白いんですけど、何かパワーのようなものも感じました。
――制服を着ての学校での撮影は、青春時代に戻ったような感覚もありましたか。
僕、自分の学生時代は私服の学校だったので制服を一度も着たことがなかったんです。制服は作品の撮影でしか着たことがなくて、だから未だに制服姿が見慣れず、自分では似合わないと思っている節はあります(笑)。実年齢より上に見られることも多いので、いつまで制服が着れる役ができるのか、着れるうちに着ておきたいです。
ただ単純に学校で撮影をして、学生生活を演じているので、「やっぱり学生っていいな」と思う瞬間は多々ありました。
――学生役を演じるうえで心がけたことは?
まずはこの『アオハライド』という作品が持っているキャラクターの魅力を最大限に引き出すために、ビジュアル面はしっかり作り上げていきました。
髪型だったらパーマのかけ具合とか、耳元にエクステを付けて少し長めにするとか。いつもお世話になっているヘアメイクさんと、現場のヘアメイクさんと細かく話し合いながら、そこに監督も入っていただいて「これならいけるね」というジャッジをしていただきました。
ただ心情に関しては学生の頃の気持ちってもう思い出せないくらいの、尊いものだったなと感じるんです。お芝居をしていて不意に思い出すこともありましたけど、当時の気持ちをすべて持ってくることはできないので、うらやましいと感じる気持ちのほうが強かったと思います。
現場はすごくにぎやかで、楽しくて、現場自体が「青春」みたいな感じでした。撮休の日が本当に嫌で、撮休の日に現場にいる夢をみるぐらい(笑)。それも共演者さんだけでなく、スタッフさんも皆さん出てきて。
温かい雰囲気なのですが、ちゃんとやるときはやるというメリハリもあって、すごくいいチームでした。こんなにいいチームはなかなかないと思います。本当にこの現場が大好きでした。