自分を閉じ込めるのは簡単だけど、開いていくことが大事

撮影/稲澤朝博

――洸は「誰にも理解されない」という気持ちを抱えている人ですが、その辺りはどのようにアプローチしていきましたか。

洸は抱えているものが大き過ぎますよね。僕はなるべくそんな洸の気持ちを理解しようとしましたけど、客観的に見るとめんどくさいと思われるところもあるんだろうなって。

ちょっとかまってちゃんの部分や、情けない部分もあって、ただそれがまた洸の魅力であることは間違いないので、そこをどうやったら自分の中に落とし込んで表現できるかは考えました。決してくどい感じにはならずに、嫌な感じ映ることもなく、愛らしさ、かわいらしさに変えられるように。

そこは原作から魅力としてある部分だとも思ったので、監督やスタッフの皆さんと話し合いを重ねながら、どうやったら引き出せるかは意識しました。

撮影/稲澤朝博

――「誰にも理解されない」という気持ちには共感できましたか。

誰も理解してくれないだろうと決めつけて、自分を閉じ込めるのは簡単だけど、僕はそこを開いていくことが大事だと思うんです。きっかけはどんなことでもいいんです。洸の場合は、それが双葉であり、村尾(志田彩良)であり、槙田(莉子)であり、小湊(新原泰佑)という仲間たちとの関わりで。

そういうなかで「理解されない」と思っていた気持ちをオープンにしていく、その人の人間味みたいなものが出てくるのが、この『アオハライド』の魅力の一つだと思います。

正直、僕も「誰からも理解されないだろう」と思っていた時期はありました。けど、ちょっと視点を変えてみると、何でもないことだったりもするんですよね。広い視野を持つことは大切だなと思います。

――櫻井さんにも何か変われたきっかけがあったのでしょうか。

単純に大人になったというのもありますし、自己肯定感を持てるようになったというのもあると思います。何かに自信を持つことができたり、誰かに愛されていることを自覚できたりすることがつながっていくのかなと思います。

だから洸は双葉に愛されて、仲間に愛されて、少しずつ弱かった自分を認めてもいいという自己肯定感のようなものが生まれたのかと。そうやって成長していけたから、いい方向に進んでいけたんじゃないかと、僕は思います。