A保育士
「生理現象だから仕方がないわ。自由に席を立つことを許しましょう」
「ここで紙芝居読むのを中断したら、他の子に迷惑もかかる。見逃しておこう」
と自由にトイレに行くことを許している。
A保育士の対応ですと“連れション(=連れだってトイレに行くこと)状態”になりやすいです。
1人の子が「おしっこ!」と叫んで席を立つと、他の子も特に尿意をもよおしていなくても「僕も、私も」と友達の真似をして連れだってトイレに立ちます。
そして、クラスの半数以上の席が空席になります。これが“ブロークンウィンドウ現象”です。
B保育士
「勝手にトイレに行ってはいけないよ。先生に『トイレに行ってもいいですか』と断ってから行きましょう」
「小学校に入学したら授業時間中に自由にトイレには行けないんだよ。紙芝居が始まる前に行くようにこれからはしようね」
B保育士の対応をしていると、その会話を聞いて他の子も「そうか、先生に許可なしでトイレに行ってはいけないんだな」「紙芝居の前に行っておいた方がいいんだな」と学習します。
クラスの秩序が保たれます。
このように幼児であっても、各園で来るべき小学校入学に向けて躾をしていく必要があります。
これは家庭で食事をするときも同じで「食事前にトイレに行ってから席に着く」そんな習慣をつけることも大切になってきますね。
家庭での対応
言葉遣い
5~6歳なると天使のようだった子どもがだんだんと「うざい、きもい」のような言葉を使うことがあります。
小学生になると更にひどくなるケースがあります。家庭で親が使っていなくても、周りの友達の真似をしているのです。
そして、悪い言葉はどんなに防ごうとしてもネットやテレビやから入ってきます。
また、いわゆる“流行り言葉”を使って友達作りをしていることもあります。「ちょう、まじ、やばい」などもその例ですね。
「ちょう、まじ、やばい」はよしとしても、親に対して「きもい、うざい」などの‟聞き捨てならない言葉”を口にした時は、「その言葉遣いは相手も自分も気分が悪くなるから止めよう!」としっかり躾けることが大切です。
たとえ、一時周りに影響され真似して使うことがあっても、ずっと引きずられることはありません。
“言葉遣いの土台”さえきちんと作っておけば、周りに合わせて一見乱れたように見えても大丈夫なのです。
そうしないと“ブロークン・ウィンドウ現象”でだんだんと治安が悪くなるように、言葉遣いも悪くなり、心も荒れてきます。
散らかっている家、埃まみれの家
子どもがいると当然、家が散らかります。片づけても片づけても散らかります。
バタバタ走り回るので部屋が汚れてきます。子どもがいるのに整然としていてピカピカなのは却って不思議ですよね。
けれども、親ばかりが“片づけ係”となっていたり、そのまま放置して掃除もしないでいるとそれが子どもに取っては普通の環境としてインプットされていきます。
更に“散らかっているのが普通”“肉眼で埃が見えるのが普通”の環境で幼い頃育ってしまうと、“散らかっていると不愉快”の感情は起こることはないので、「片付けよう」という動機がそもそも湧いてこなくなります。
出した玩具は指定席に必ず戻す、ゴミが落ちていたら自分で捨てさせる、そんな躾をしてききましょう。(過去記事「片付かない子の3つの理由とは?「片付けられる子ども」を育てるために親がすべき工夫」)
まとめ
幼児期にどう育てられたか、どんな環境で育ったか重要です。小学生になって一時乱れた態度をとったり、悪い言葉遣いを真似することがあっても、土台さえきちんと作っておけば大丈夫です。
- 食事が終わるまでは席についている
- 相手を傷つける言葉を口にしたとき、それは使ってはならない言葉として注意する
- 「誰かが片づけてくれるだろう」と使ったハサミや絵本を指定席に戻さずその辺にポイッと置いたとき、「元あった場所に戻そうね」と根気よく教えていく
来るべき小学校生活に向けて、習慣化していきましょう。