自分の弱さもひっくるめたところで、開き直って言葉にしてしまうひろしに共感
ところで、昨今のひろし人気については、中島さんはどう捉えていらっしゃいますか? みさえでもしんのすけでもなく、なぜひろしに若い人たちから注目が集まっているのか、と。
中島 それはまさに、自分の弱さもひっくるめたところで、開き直って言葉にしてしまうひろしの魅力に多くの人が共感するからじゃないでしょうか。僕が今回使ったセリフでいうと、みさえが「うちの旦那は結構しぶといのよ。足のにおいだって洗っても洗っても落ちないんだから!」と言うと、ひろしも思わず認めてしまう(笑)。
――見栄を切るときも、いちいち「ローン32年!」と自分で言ってしまいますからね。
中島 自分の情けなさや弱さを認める強さを持っている男に注目が集まる。それが今なんじゃないかと思うんです。自分を背伸びさせて見栄を張っても仕方ない。変なプライドにこだわっても意味がない。でも、俺は俺だよ、俺は父親だよ、と主張するひろしの気持ち良さみたいなものがあるのだと思います。弱くて心が折れても、必死で粘るのがひろしですから。それが「こんなお父さんいたらいいな」という気持ちになっているのかもしれません。今回、脚本を書くときも、そういう部分は考えていましたね。
昨今のひろしブームを象徴といえば、ひろしが家族や人生、生き様などについて語った“ひろしの名言”でしょう。『逆襲のロボとーちゃん』にも、さまざまなひろしの名言が登場します。
そうだ!
子供が俺たちの戦うエネルギーだろ!
なんていうセリフには、やっぱりグッと来てしまいますね。今回の映画のもう一つの楽しみだと思います。
オレの命に代えてもしんのすけを助ける!!
サラリーマンだってやるときゃやるさ!!
俺は家族と一緒に未来を生きる!
いいか、屁をするときは音出して堂々としろ。
すかしっ屁ってのは卑怯者のする屁だ。覚えとけ!
……などのひろしの名言をギュッと詰め込んだ『野原ひろしの名言』(双葉社)という書籍も刊行されますので、こちらもお楽しみに。また、テレビシリーズでのひろしの活躍を集めた2枚組スペシャルDVD『クレヨンしんちゃん きっとベスト☆凝縮!野原ひろし』(バンダイビジュアル)も発売されます。今年の春は、やっぱり野原ひろしがアツい!