
自分が望む「人生のゴール」で資産の取り崩し方は変わる
筆者としては、老後の資産取り崩しについては以下の手順のように行うことをおすすめしており、自分自身もそのようにするつもりでいます。
1.資産管理をする口座は「生活費用」「緊急用」「投資用」に分ける
→「生活費用」口座は普通預金など、直ぐに現金を引き出せる口座に、最大で生活費5ヶ月分を入れておく。
→「緊急用」口座は国債など、低リスクで換金性の高い商品で運用する。生活費1年~2年分を用意し、高額な医療費や臨時支出があった場合に、必要な分だけ換金して引き出す。
→「投資用」口座は新NISAなどを活用し、損失リスクがあるが利回りの高い商品で運用して、高めの運用益を狙う。基本的に「生活費用」「緊急用」の口座資金を除いたすべての財産をここに入れる。
2.「生活費用」口座の残高が生活費2ヶ月分を割り込んだら、「投資用」口座から「生活費3ヶ月分」だけ、投資商品を現金化して「生活費用」口座に移す。
3.「緊急用」口座に手を付けることがあったら、残高の減少分と同額だけ「投資用」口座から投資商品を現金化して「緊急用」口座に移す。
4.年金受取や臨時収入があった場合はまず「生活費用」口座に振り込み、生活費用口座の残高が「生活費の5ヶ月分」を超えた場合は、超えた分を「投資用」口座に振り込み、投資商品を購入する。
このような形で資産を管理することで、緊急支出が発生した場合に備えつつ、老後の資産減少を最低限にすることが可能です。読者の皆様も、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
ただ、ここで強調しておきたいのは、人生で最も大事なことは、決して「いくら財産を遺して死んだか」ではないことです。それぞれの人生・価値観に合わせて、必要なお金の使い方、そしてタイミングというものがあります。
体が元気であるうちに、旅行やグルメなどの様々な経験をしたい方もいらっしゃるでしょう。まとまった資金を活用して、昔からやってみたいと思っていた事業立ち上げにチャレンジするのもよいでしょう。
子どもや孫が元気に育ち、幸せな人生を送れるためにお金を使うこと、遺すことが生きがいだという方もいらっしゃるでしょう。
自分が必要だと思い、使うことに幸せ・充実を感じることのできることに対してお金をしっかりと使い、それぞれの方がそれぞれの人生全体の満足度を最高にできるよう、自分が積み上げた資産の取り崩し方を早いうちから考えていただきたいと、筆者は心から願っています。
【執筆者プロフィール】
山田 圭佑(KYお金と仕事の相談所 所長)

キッズ・マネー・ステーション認定講師、国家資格キャリアコンサルタント、ファイナシャルプランナー技能士2級・AFP、琉球古典音楽 野村流伝統音楽協会 歌三線 師範、八重山古典民謡保存会 歌三線 教師
東京都出身。大学入学と同時に沖縄県へ移住。大学卒業後、沖縄県庁にて18年間奉職した後にキャリアチェンジ。現在はフリーランスのキャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー・歌三線師範として幅広く活動。2022年7月に「KYお金と仕事の相談所」を開設。所長を務めている。