賢く贈与を受けるための節税法とは
贈与税にはいくつかの非課税制度や特例があり、これらを活用することで税負担を大幅に軽減することが可能です。
ここでは、主な節税方法をいくつかご紹介します。
1:暦年贈与の基礎控除(年間110万円)を最大限活用する
最も基本的な節税方法が、年間110万円の基礎控除を毎年活用していくことです。
例えば、年間110万円ずつ10年間毎年贈与すれば、合計1100万円を無税で贈与することが可能です。
ただしこの手法を使う場合は、税務署から「連年贈与」とみなされないよう注意が必要です。
連年贈与とは、当初から複数年にわたって贈与する計画があったとみなされることで、一括贈与と判断されて贈与税が課されるリスクがあります。
これを避けるために、毎年贈与契約書を作成する、贈与する金額を毎年少しずつ変える、贈与の時期をずらすなどの対策が有効とされています。
2:相続時精算課税制度を活用する
2024年の税制改正により、より使いやすくなったのが「相続時精算課税制度」です 。
この制度は、子世代が贈与を受けた時点では一定額まで贈与税を納めずにすませ、贈与者(親)が亡くなった際に、その贈与財産と相続財産をまとめて「相続税」として精算する仕組みです。
この制度を選択すると、特定受贈者(贈与者の直系卑属である子や孫)は、特定贈与者(贈与を行う者)から累計2500万円までの贈与について贈与税が非課税となります。
さらに2024年1月1日以降の贈与から、相続時精算課税制度を選択した場合でも、年間110万円の基礎控除が創設されました。
この基礎控除は、2500万円の特別控除枠とは別に利用でき、この金額までの贈与は相続発生時に相続財産に加算されません。つまり、年間110万円までは完全に非課税で贈与できる上に、2500万円までは将来の相続時に精算される形になります。
相続時精算課税制度は、暦年贈与と比較して、より大きな金額を計画的に贈与したい場合に非常に有効な選択肢となります。
ただし、一度この制度を選択すると、その贈与者からの贈与については暦年贈与に戻すことはできませんので、慎重な検討が必要です。
3:教育資金の一括贈与の非課税制度
直系尊属(父母や祖父母など)から30歳未満の子や孫に、教育資金として一括で贈与する場合は、最大1500万円までが非課税となる制度です。
これには学習塾や習い事の費用なども含まれますが、金融機関等を経由して手続きを行う必要があり、領収書などを提出して使途を証明する必要があります。
4:結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度
直系尊属(父母や祖父母など)から、18歳以上50歳未満の子や孫に、結婚資金や子育て資金として一括で贈与する場合、最大1000万円(結婚資金は300万円まで)が非課税となる制度です。こちらも金融機関等を経由して手続きを行う必要があります。
このような特例制度を使いこなすことで、贈与税を支払うことなく、まとまった資金を受け取ることが可能になります。
ただし、制度を利用するためにはそれぞれ細かい条件や手続きが定められているため、利用する際は必ず事前に詳細を確認し、不明な点があれば専門家に相談することが重要です。
【執筆者プロフィール】
山田 圭佑(KYお金と仕事の相談所 所長)
キッズ・マネー・ステーション認定講師、
国家資格キャリアコンサルタント、ファイナシャルプンナー技能士2級・AFP、琉球古典音楽 野村流伝統音楽協会 歌三線 師範、八重山古典民謡保存会 歌三線 教師
東京都出身。大学入学と同時に沖縄県へ移住。大学卒業後、沖縄県庁にて18年間奉職した後にキャリアチェンジ。現在はフリーランスのキャリアコンサルタント・ファイナンシャルプランナー・歌三線師範として幅広く活動。2022年7月に「KYお金と仕事の相談所」を開設。所長を務めている。



















