口唇ヘルペスができると、唇にヒリヒリとした痛みを感じたり水ぶくれができたりして、日常生活にも支障が出やすくなります。口唇ヘルペスは疲れやストレスがたまったときに再発しやすく、見た目も気になって気分まで落ち込んでしまう人は少なくありません。
この記事では、口唇ヘルペスが再発する原因や日常生活で取り入れやすい対策方法を紹介します。
口唇ヘルペスとは?
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)というウイルスに感染することによって引き起こされる感染症です。発症すると唇やその周辺に赤みが生じ、その上に小さな水ぶくれ(水疱)が集まってできます。
水ぶくれができる前には「ピリピリ」「チクチク」「ムズムズ」といった違和感やかゆみを感じることがあるのが特徴です。水ぶくれができると、見た目が気になるだけでなく、食事や会話の際に痛みや不快感を伴うようになります。
口唇ヘルペスを引き起こす単純ヘルペスウイルスは、実は、多くの人が乳幼児期に初感染を経験しているウイルスです。一度感染すると体内の神経節の奥深くに潜伏し続け、免疫機能が低下するとウイルスが活発になって皮膚表面に出てきて再発を繰り返します。(※1)
口唇ヘルペスが再発する原因
口唇ヘルペスが再発するのは、からだの中に潜んでいるウイルスが活性化できるほどからだの免疫機能が下がっているときです。その主な引き金となる2つの原因を紹介します。
1.ストレス
現代社会において避けて通れないストレスは、口唇ヘルペスの再発に関わる原因のひとつです。
自律神経は交感神経と副交感神経の2つからなり、両者がバランスをとりながらからだのさまざまな機能を調節しており、免疫機能にも大きく関わっています。過度な精神的ストレスや肉体的な疲労が蓄積すると、自律神経のバランスが乱れ、免疫機能にも悪影響を及ぼします。
その結果、神経節に潜伏していたウイルスを抑え込む力が弱まり、ウイルスの再活性化を許してしまうのです。
仕事や人間関係、睡眠不足など、日常の小さなストレスの積み重ねも再発の引き金になるため注意が必要です。
2.免疫機能の低下
私たちのからだは普段、免疫機能によってウイルスの活動を抑え込んでいます。しかし、風邪を引いて熱が出た後や、過労、睡眠不足などが続くと、免疫機能が低下します。ウイルスへの抵抗力が弱まった状態となり、潜伏していたウイルスが神経を伝って皮膚に出てきてしまうのです。
また、偏った食生活による栄養不足や紫外線による唇へのダメージなども免疫機能を低下させ、口唇ヘルペスが再発する原因となります。
口唇ヘルペスができたときの対処法
もし口唇ヘルペスができてしまった場合、抗ウイルス薬を使用した治療を受けるとともに、患部への刺激を抑えて清潔に保つことが大切です。ピリピリ、チクチクする段階で医療機関を受診し、治療薬を処方してもらいましょう。
患部への刺激を避けるためにまず気をつけたいのが、患部を舐めないようにすることです。患部を舐めると唾液が蒸発する際に唇の水分まで奪ってしまい、乾燥して症状が悪化する原因にもなります。
メイク時やメイクを落とす際のクレンジングによる摩擦が患部への刺激となり、回復を遅らせる恐れがあるため、口紅などのメイクを控えることも大切です。
患部周辺は清潔に保つことが第一のため、水ぶくれがある間は患部を避けてメイクをするか、ノーメイクで過ごすのが賢明です。マスクをする際は、ガーゼなどで患部を保護し、直接マスクが擦れないように工夫しましょう。
また、患部を手で触れると感染を広げてしまう可能性があります。水ぶくれやかさぶたが気になってつい触りたくなるかもしれませんが、直接触れないようにすることが大切です。加えて、家族やパートナーにうつさないようタオルやコップなどの共用は避けましょう。
今日からできる!口唇ヘルペスの対策方法
口唇ヘルペスは日々の生活習慣を見直すことで、再発リスクを下げることが期待できます。無理なく続けやすい対策を紹介します。
1.十分な睡眠をとる
睡眠不足が続くと、からだはダメージを修復できず、ウイルスに対する抵抗力が著しく低下します。できるだけ十分な睡眠時間を確保し、睡眠の質を高める工夫をしましょう。
質の高い睡眠をとるためには、就寝前の環境づくりが大切です。寝室は間接照明などを使ってリラックスできる状態にしたり、適度な室温や湿度を保てるように調整したりしましょう。
また、スマホやパソコンなどの強い光は脳を覚醒させてしまいます。寝つきをよくするために、就寝前にはデジタルデトックスを行うのも効果的です。
2.栄養バランスのいい食事を心がける
免疫機能を正常に保つために、1日3食欠かさず摂ることを意識し、タンパク質やビタミンなどをまんべんなく摂れる栄養バランスのいい食事を心がけましょう。
免疫機能を高めるには、腸内環境を整えることも大切です。腸には免疫細胞の約7割が集まっており、腸内環境が乱れると免疫機能にも悪影響を及ぼします。味噌やヨーグルトなどの発酵食品や、食物繊維が豊富な野菜やきのこ類といった食材を摂ると、腸内環境を整えることにつながります。
口唇ヘルペスによって荒れた唇を改善するために、とくに意識して摂りたいのがビタミンB2です。
ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きが期待でき、レバー、納豆、卵、アーモンドなどに多く含まれています。毎日の食事に納豆を一品加える、おやつにアーモンドを食べるなど、無理のない範囲で取り入れてみましょう。
3.唇のダメージケアをする
唇はほかの皮膚と異なり、皮脂腺や汗腺がほとんどなく自ら潤いを保つ力が弱いデリケートな部位です。ダメージを受けるとバリア機能が低下してウイルスが活動しやすい環境を作ってしまうため、乾燥や紫外線などによるダメージをケアすることが重要です。
リップクリームやワセリンなどをこまめに塗り、保湿された状態を保ちましょう。また、紫外線対策としてUVカット成分が含まれたリップクリームを使用し、帽子や日傘を活用して唇に紫外線を浴びすぎないようにすることも効果的です。
4.軽い運動をする
適度な運動は血行を促進し、体温を上げることで免疫機能の向上に役立ちます。また、ネガティブな気分を発散して自律神経を整える効果も期待できます。
ただし、激しすぎる運動はからだに過度な負担がかかって疲労の原因になったり、ストレスホルモンが分泌されて逆に免疫機能が低下してしまったりすることがあるため注意が必要です。
おすすめなのは、ウォーキングやサイクリング、ヨガなどの軽い運動です。これらを習慣化して続けることで、基礎体力がつき、疲れにくいからだを作ることができます。
5.リラックスタイムを設ける
ストレスをためないようにリラックスタイムを設けることも、口唇ヘルペスの再発予防に効果的です。
精神的なストレスを溜め込まないよう、お風呂上がりにストレッチをする、好きなアロマを焚く、お気に入りの音楽を聴くなど、自分なりのリラックス方法を見つけましょう。副交感神経を優位にし、心身の緊張をほぐすと、自律神経のバランスを整えることにもつながります。
口唇ヘルペス対策におすすめの漢方薬
繰り返す口唇ヘルペスにお悩みの場合は、西洋医学的な対症療法に加えて、漢方薬による体質改善もおすすめです。漢方薬は、西洋薬のようにウイルスを直接攻撃するのではなく、からだの内側のバランスを整え、ウイルスに負けないからだを作ることを目的としたものです。
口唇ヘルペスの対策としては、「胃腸の機能を高めて体力を回復する」「自律神経を整えて睡眠の質を上げる」「炎症を抑える」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
<口唇ヘルペス対策におすすめの漢方薬>
・人参湯(にんじんとう)
胃腸を温めることで胃腸の機能を活発にして、消化吸収を高める漢方薬です。腹部に冷えがあり疲れやすく貧血気味の人に向いています。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の機能をよくして体力を回復し、気力を充実させる漢方薬です。胃腸が弱く疲れやすい人に向いています。
スマホで気軽に専門家に相談できる「あんしん漢方」のような、オンライン個別相談も話題です。あんしん漢方はAI(人工知能)を活用し、漢方のプロが効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれるオンライン漢方サービス。
スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談できますよ。
お手頃価格で不調を改善したい人は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。
口唇ヘルペスの再発を防ぐために
口唇ヘルペスは、原因を知り、生活習慣を整えることで再発を防ぐことが期待できます。十分な睡眠や食生活の見直し、ストレスケアなどを意識したセルフケアを日常に取り入れることが大切です。自分の生活リズムや体質に合ったセルフケアを続けることで、口唇ヘルペスに振り回されにくい毎日を目指しましょう。
<参考文献>
※1 社会福祉法人恩賜財団済生会「口唇ヘルペス」
<この記事の監修者>
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。


























