2.心に余裕を持って楽しく作る

土岐山「お母さんの作る料理に正解はありません。お母さんが作った料理は子どもにとってすべて正解なのです。

子どものことを思えばこそ『毎日の食卓を充実させなければならない』とばかりにレシピ本を見ながら頭を悩ませてしまうお母さんがおられますが、子どもにとって一番のごちそうはお母さんの笑顔なのです。

ごはんと味噌汁だけで必須アミノ酸はすべて補えます。食卓を華やかにするのは品数ではなく、家族の笑顔。楽しい気持ちで食卓を囲むことがとても大切です。

すごく身体が疲れたときは“宅配”の力を借りても良いと思います。楽しい気持ちで家族がゆっくりと時間を過ごすことが何より大切です」

3.子どもと一緒に台所に立つ

土岐山「子どもはお母さんが大好きです。子どもに料理を作る姿を見せるだけでもよいですし、味噌汁やサラダを作る係にしてもよいです。

とにかく、子どもと一緒に台所で料理を楽しみましょう」

4.家族で生産者さんに会いに行く

土岐山「お米、お味噌、お醤油、お塩、お野菜、缶詰、ソーセージなど、自分たちが興味がある食べ物がどうやって作られるかを家族で見学しに行くのはとても楽しいですよ。食卓に乗っている食べ物はどこからくるのか。

このことを知るだけでも、食べ物に対する気持ちが温かなものに変わっていくことと思います」

5.「お母さんは世界一素晴らしい職業」だという自覚をする

土岐山「私は料理教室に来られるお母さんに必ずお伝えすることがあります。それは『世界一素晴らしい職業はお母さんである』ということ。

社長、市町村長、議員、総理大臣、今日辞めても誰も困りません。仕事の代わりをしてくれる人は必ずいます。

ですがお母さんの代わりはいないのです。お母さんは代わりのきかない世界で一つの職業なのです。

料理教室にくるお母さんで『子育てだけしていると社会と切り離されている気がして不安』という方が多くいます。私はなんと不思議なことを言うのだろう、と。

だって社会は人が無くては成り立たない。その『人』を育ててているお母さんは、むしろ社会の中心なのです。

また『仕事をやめて主婦なので今は働いていません』というご挨拶も、え?と思います。主婦という肩書きの素晴らしい仕事をされているのに、ご本人は自覚がない。

仕事とは『お金をもらえる』ということではなく『自分が責任と誇りを持てるもの』を言うのです。お母さんは替えのきかない誇り高き職業です。お母さんは命懸けで子どもを生んだのです。素晴らしい仕事です」

愛情をたっぷりこめた料理がおいしい秘密、わかった気がしますね。もっと理解を深めるためには、とにかく自信を持って実践するのみ!

土岐山さんは、「まずは自分の中に愛情がないと愛情料理は作ることができません。家庭料理はお母さんが作るものすべてが正解なのです。

誰とも比べなくていい。自分は素晴らしい仕事を毎日しているという自信と誇りを持って、世界で一つだけの愛情料理をご家族で楽しく味わえますように」と話します。

ちょっと毎日の料理に疲れたな、料理がマンネリ化してきたな、家族の反応が薄れてきたなと思ったら、愛情をこめた料理を作ってみてはいかがでしょうか。

【取材協力】土岐山協子(ときやま・きょうこ)さん

愛情料理研究家。おだしプロジェクト主宰。出汁を簡単に生活に取り入れるワークショップを中心に様々な団体と食の活動を一緒に行っている。
 

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