吉田 「八嶋さん」って言っちゃわない(笑)
八嶋 まぁコヒ(小日向文世)さんはありましたけどね。芝居で「八嶋」って。あまりにシンクロしすぎたんでしょうね(笑)
吉田 あった、あった。「(久利生公平に)木村(拓哉)くん」とか言ったりね(笑)
八嶋 そう、だからそれレベルにシンクロしてるってことですね。木村拓哉と久利生公平がシンクロするように? 八嶋と遠藤も? シンクロする的な!?(笑)
遠藤なんてあんまり意味あるセリフはないんですよ。
──『HERO』って、演劇的なものをメジャーフィールドに導入した意味でも画期的だったと思うんです。劇団『HERO』といった雰囲気で。
八嶋 たぶんいちばんの醍醐味になっているのは(城西支部の)フリースペースだと思うんですよ。あれが『HERO』だ、みたいなところもあって。そこは鈴木(雅之監督)さんが作り出したミザンス(=役者とセットの全体の配置)でもあって、それを感じながら僕らもやってるわけです。プラス、(脚本家の)福田(靖)さんのテンポ感のあるセリフ。
ただ、遠藤なんてあんまり意味あるセリフはないんですよ。この過去14年間見ても、ほとんどない(笑)。ありますよ、いいセリフも。でも14年分全部足しても、たぶん5分もいかないくらい(笑)
吉田 (笑)
八嶋 でもそんなセリフも活きてるんですよね。鈴木さんも、「あっちでメインのセリフがあっても、こっちでもしゃべってもいい」って言うんですよ。テクニカル的にも相当面倒くさいことなのに、音声さんたちもきちんと録っていて、この映画でもちゃんと作品に反映されてる。どっか欠けてもそれは結実しない。映画の画面にそれが結実してると思えるのは、スタッフ、キャストみんながそれぞれ一生懸命普通にやったらこうなった。すごくそう思いますね。
演劇的ってことで言うと、現場でやったライブ感みたいなものを、編集っていう神様がさらによくしているんですよ。ときには鈴木さんが僕らのセリフの頭の間を0コンマ何秒で削っていて、僕らのパス回しより速くなってたりする。それによってライブ性が増したりする。ライブ性みたいなものをみんなに大事にしているっていう結果なんじゃないかなって思いますね。ね?
吉田 ね!
──吉田さんはそのへんどうですか?
吉田 十分じゃないですか! 私がしゃべることはないです。付け加えることはないですよ。
八嶋 おいおいおい、「吉田羊、全然しゃべってねぇじゃん」ってなっちゃうから!
吉田 それでいいんですよ。「吉田羊(笑)」で(笑)
八嶋 いま、世の中の人は吉田羊の話を聞きたいんですよ! でも、このところバーッと(出演)映画が公開されてるけど、その中でもやっぱり『HERO』でしょ!?
吉田 何、何?
八嶋 いちばん面白いでしょ?
吉田 面白いよ?
八嶋 言った、言った! ほかの映画に失礼だよ!!
吉田 えっ? どういうこと!? いや、どれも面白いですよ!
──八嶋さん、何、無理矢理言わせてるんですか(笑)
八嶋 失礼しました(笑)
吉田 これですからね〜(笑)
八嶋智人
1970年生まれ、奈良県出身。'90年、主宰の松村武と共に“劇団カムカムミニキーナ”を旗揚げ。以後、舞台とあわせ、ドラマ、映画、バラエティ、CM、ラジオなど幅広い活躍を見せる。近年の主な映画出演作に、『つむじ風食堂の夜』(09)、『映画 怪物くん』(11)、『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(14)などがある。
吉田羊
福岡県出身。舞台出演を機に、女優の道へ。2007年、『愛の迷宮』(THK系)でドラマデビュー。最近の主な映画出演作に、映画『ビリギャル』、『脳内ポイズンベリー』、『愛を積む人』ドラマ『ウロボロス』(TBS系)、『ドS刑事』(NTV系)など。7月スタートの連続ドラマ『恋仲』(月曜夜9時・CX系)にレギュラー出演。