同じバゲットでもこんなに違う。“利きバゲット”でバゲットを堪能。

バゲット豆知識。パリっとした皮の部分は「クラスト」、ふんわりした中の白い部分は「クラム」、表面のちょっと切れ目が入った部分は「クープ」と呼ばれる。

いつも何となく購入している「フランスパン」、実はさまざまな種類があるのだ。フィセル、フルート、バゲット、バタール、パリジャン、ドゥーリーブルと呼ばれるこれらのパンは、大きさや重さ・形状で名前が付けられる。

『バタールは「バターが多く入っているから”バタール“なんですか?」とよく聞かれますが、違います』(児玉さん)とのこと。

正解は棒状の形をしているフランスパンで、太さがパリジャンとバケットの中間にあるから。バタールの日本語訳は「中間の」という意味を持つ。

提供時には店名が伏せられ、それぞれが持つ味の違いを楽しむ時間が取られた。 この日用意された五種類のバケットは、Boulangerie et Cafe Main Mano、Bon Vivant、タルイベーカリー、Factory、VIRONのもの(写真下・印がついている場所から時計回り)。

「まずは『素バゲット』、その後でバターやオリーブオイルと一緒に味の変化を楽しんでください!」と配られたバケットは5ピース。

全て合わせると、普通サイズのバケット一本の大きさを軽く超えるほど。さらにアンコールバケット(お代わり)も用意されていて、ほぼ食べ放題の状態だった。

効きバケットをしてみて感じるのは、同じ「バケット」なのにまったく味も香りも食感も異なること。クラストのざっくりとした食感やクーペのもっちり感、全体の塩加減と甘味のバランスで、5種全てがまったく違う世界を作っていた。

また、バターと一緒に食べたり、前菜とともに味わったりすることで風味の印象ががらりと変わる。筆者は素バケットで味わう時には、穀物の味や香りを感じるような甘味の少ない、ハードな食感のものが好みだった。

けれどもバターを載せると好みが変わり、マイルドにバランスが整った、全体的に個性が控えめなものを美味しく感じたのだ。

『パンを焼く側も、食べるシーンに合わせて作り方をこだわっています。例えば、うちのBon Vivantではパン以外の物と一緒に食べることを前提として、塩分は控えめにしています』(児玉さん)とのこと。

会場でも「素バケットでは塩味が強いものを美味しく感じたけれど、おかずと一緒に食べるとまったく別の種類の方が合うように思った」など、食べ方によって感じる味わいが変わることに驚いたという声が多く聞かれた。

 

バケットによく合う前菜とスープもサーブされた。

前菜の一品として出されたチーズは、なんと平岩さんが今日のお客さんたちに食べさせてあげようと、フランスで購入してきたもの。手荷物として大切に機内持ち込みして、用意されたものだった(この説明に、会場からは本日一番の大歓声があがった)。

利きバゲットを楽しむ間は登壇者がお客さんの席を回り、バゲットについてのレクチャーをする時間が取られた。

友達同士で来場したというふたり。味の印象を伝え合いながら、利きバケットを楽しんでいた。