大・掃・除の三文字が脳裏に浮かんでくるこの季節。「参考になれば」と、収納術や片づけ術の本を開いてみた人もいることでしょう。で、どうでした? 特に一人暮らしのかた、使えそうなワザは見つかりましたか?

アパート暮らしのシングル女子が読むと「わ~、すごいな~!」と感心はするのですが、自分で活かせる部分は? と言えばほんのわずかだったりして。なぜなら、世に出回るお掃除術や収納術の書籍は、そのほとんどが主婦層をターゲットにしているからです。

今回はちょっと目先を変えて、枡野俊明著『人生が豊かになる 禅、シンプル片づけ術』を参考に、お部屋も気持ちもスッキリするお片付けの仕方を考えてみようかと。

物欲に去ってもらう

お寺とアパートって関係なさそう!? でもね、禅的なモノの考えかたって、アパートで一人暮らしを送る女子と、意外に相性がいいのです。どちらで時を過ごしても、物欲はお部屋だけでなく頭の中を混沌とさせる、いっそ物欲がないほうが心地いいと、どこかで知覚する日が来ると思うんですよね。

賃貸女子は、引っ越す場合が多いです。借りたお部屋だから、引き払おうと思うことも出てくる。その時、使いもしないモノをお部屋に溜め込んでいるとなっかなか動きがとれません。過去の物欲が、未来に向かっている自分を邪魔しちゃうのです。

それより、いつ移り住んでもいいくらいの心づもりで、物を増やさないこと、きちんと整理すること、身軽に生きること。この潔さを習慣づけてみると、驚くほどスッキリした気持ちで暮らすことができます。お部屋がシンプルなほどうまく行く。そんな賃貸生活は、禅的な考え方に通じることが少なくないのです。

雑念スイッチをOFFに

お掃除は、ノウハウよりメンタル。ひたすらお掃除それのみを行うべし。それ以外のことに気をそらしていては、どんなに素晴らしいお掃除の仕方を知っていても、いつまで経ってもお部屋は片付きっこありません。目的を達するためには、渦巻く雑念を頭から締め出す必要があります。

雑念のスイッチを切る方法は、物理的にも様々なモノのスイッチをOFFにすることです。パソコンやテレビ、可能であれば携帯電話やスマートフォンも、電源を落としてからお掃除をスタートしましょう。その数時間だけは、メールやLINEをお休みして。ついでに、日常の不平不満も、一旦脇に置いておきます。

雑念の嵐を呼ぶ彼氏、確かに楽しいけどそれだけの友達、口うるさい親や鬼上司(言い過ぎたか……)の顔色を一切気にせず、余計なことを思い煩うことなく。一人黙々と、掃くなら掃く、拭くなら拭く、その作業だけに精神を集中。無になるのだ!

すると、「うわー、何だろうこのすがすがしさは」と思うような、信じられないほど心が静かで、それが気持ちよくてたまらない、不思議な境地に入っていきます。そのゾーンに入ることができれば、お掃除はほとんど成功したようなものです。