知られざる“うーめん”語源の由来って?
続いて、宮城県白石市の『白石温麺(うーめん)』。あったかい餡かけの汁でいただきました。“おくずがけ”といって、冷蔵庫にある余ったお野菜を使い、醤油ベースのスープにカタクリ粉でとろみをつけた宮城の郷土料理だそうです。
「温麺(うーめん)と言っても、汁が温かい麺という意味ではありません! 人を思いやる温かい心のことなんです!」と白石温麺の担当者さんが力説します。
時は、江戸時代初め。白石に住んでいた大畑屋鈴木浅右衛門は、胃腸の弱い父(麺好き)を心配し、何かないかと探した末、旅の僧に油を使わない麺の製法を教わったそう。苦労を重ねて麺を作ることに成功し、父親に食べさせたところ病気が回復。
さらに、その麺が話題となり、白石城主の片倉小十郎にも食べてもらったところ「うまい!」と絶賛。片倉小十郎は、浅右衛門の父親を思う温かい気持ちにも感動し、その麺を『温麺』と名づけたとか。さらに浅右衛門は、味右衛門の襲名を許されたのだそうです。
それにしても『温麺』って、“おんめん”って読むんじゃないの? どうして、“うーめん”と読むのでしょうか?
片倉小十郎に褒められたところまではよかったものの、温麺の呼び名を度忘れしてしまった味右衛門。しかし「ウマイ」と言われたことを思い出し、周りの人になんと読むのか聞かれたときに「う、ウメーメン……(だったかな……?)」と伝え、「ふーん、じゃあ『うーめん』だな!」と解釈され、“うーめん”と呼ばれる様になったと伝えられているそうな。……ホンマでっか!?
【豆知識】「煮麺(にゅうめん)」の定義? 「冷麦」と「そうめん」の違いとは?
温麺とそうめんの話を聞いていたら、そうめん周りについて疑問がふつふつと湧いてきた人も多いのでは? そんな疑問にお答えします!
煮麺(にゅうめん)はそうめんを煮たもの。冷麦とそうめん、ついでにうどんの違いは太さだそう。
うどん 直径1.7mm以上
冷麦 直径1.3mm以上1.7mm未満
そうめん 直径1.3mm未満(三輪そうめんは、0.8mm!)
【日本農林規格(JAS)】
さて、うんちくはこの辺にして、試食です。温麺のスープの中には、だいこん、にんじん、里芋、しいたけなど具がたっぷり。餡かけなので、温かさが胃の中まで保たれて、お腹の中からあったまる〜! ちなみに、白石温麺の特徴は、油を使用していないのと、長さ9cmサイズの麺ということ。普通のそうめんの半分くらいです。
桜顔酒造さんの日本酒も堪能。アルコール度数6%の『もりおかスパークリング』は、甘酸っぱくて飲みやすい味、万能にいけます。やや辛口の純米大吟醸『南部の雫』とも、三輪そうめんのカツオつゆは、相性がよかったです。ぬる燗でいただく『大地の一献 特別純米酒』が、温麺にぴったりはまります!
冷やしグルメの中のオアシスのような温かさを堪能しました。