貸出し制、ルールの決め方

実際にご家庭でルールを設ける際、この例のように沢山の項目がなくてもよいです。「ルールを破る、間違えた使い方をした場合は、貸し出さない時もある」といった3つほどの項目で十分だと思います。

中学校ぐらいまでは、自宅にいてスマホがどうしても必要なことはあまりないと思います。ですので、朝貸し出しをして、帰宅したら回収で十分です。

これが、子ども専用の携帯として買いあたえて、さらに子どもの個室まであると、親は管理不能です。完全に個別に連絡とれる手段をあたえているわけですから、子どもが興味本位に何にアクセスしても、誰かと接触してもわからなくなります。

――貸し出しをして、最初にルールを設けることが大事ということですね。

藤原さん:そうです。大事な項目だけ決めて、それをきちんと紙に書き、お約束として本人にサインさせる。これは、まさに公共心の教育としても有効です。

――最近では、1年に何度か、テレビやDVD、ゲーム、スマホなどを一定期間禁止する『ノーメディアデー』という取り組みを行っている学校もありますが、家庭でもできるでしょうか。

藤原さん:学校でそのように「せーの」でやってくれるのはありがたいですね。家庭でもありだとは思いますが、親の覚悟次第です。自分がしょっちゅうスマホをいじっていたら、子どもも同じようになりますよ。

 

読書好きの子どもを育てたい場合と同様、スマホとのつきあい方も親の姿勢が肝心。子どもの前でついついLINEやメールをチェックし、長時間画面にくぎ付けになっている人も多いのではないでしょうか。

藤原先生のお話を聞いて以降、私も自宅では、これまで手元に置いていたスマホを机に置き、できるだけ本を読むようにしてみました。
結果として、「ママ、本読んでるね」と言って子どもが隣で一緒に読んだり、スマホで浪費していたぶんの時間の余裕もできたりしました。

まずは、スマホを置き、本を読むところから始めてみてはいかがでしょうか。
 

 

【藤原和博】 教育改革実践家。東京都初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務める。元リクルート社フェロー。メディアファクトリーの創業も手がける。 2014年より佐賀県武雄市特別顧問。2016年4月より、奈良市立一条高校の校長に就任。
・『本を読む人だけが手にするもの』日本実業出版社 (2015/9/30)

 

編集/ライター。パソコン週刊誌に15年ほど在籍後、フリーに。デジタル全般から、ゲーム、教育、グルメ、ホビー、文具まで幅広く探索中。デジタルネイティブな男子の母でもある。http://izumi-aikawa.strikingly.com/