書籍『広島カープの血脈』は、このレジェンド2人が広島カープの強さの秘密を明かした一冊。その中で注目したいのが、広島の育成システムです。
広島カープでは、有望と思われる若手を積極的に試合に出します。「まだ試合に出すには早いかな」と思われる選手でも、一軍の試合で20、30試合は出場します。中には50試合ほど経験させても、という考え方も。このシステムの良い面は「自分の今のレベルと一軍選手のギャップを痛感できる」部分であると、同書で明かされています。
どんなにコーチが指導しても伝わらない経験や情報が実戦の中にはあります。実戦に出ることで、それに自身で気づける。これが選手をより成長させるのです。もちろん、全ての若手が一軍で成功するわけではないので、ダメなら二軍に送り返す。
選手は、「全然だめだった」「一軍はやっぱり凄い」とわかっているので必死に食らいつくのです。二軍で結果を出せば再び一軍へ。ただし、プロ野球はそんなに甘いものではりませんので、再度、二軍で頑張るということも案外多いとのこと。
そこは選手もコーチも苦しいのです。コーチング、選手を管理する立場からすると、『早く一軍に上がってきてほしい』と思うのですが、本人のことを考えると、『もう少し我慢して、本当の力をつけてから這い上がってほしい』と突き放すしかありません出典『広島カープの血脈』
育成はすぐに結果が出るものではありませんので、選手をはじめ、コーチ、監督、経営陣すべてが苦しかったりするのです。しかし、その苦しさから目を背けずに徹底的に育てていくのが広島カープの伝統。そのためには同じ事を何度でも指導するし、できるまで粘っこく付き合う。これがこのチームに根付いているのです。
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