また、今年、アメリカ大リーグ、カンザスシティ・ロイヤルズの編成部門アドバイザーに就任した野村さんによると、大リーグもカープの指導方法に関心をもっているとのこと。

大リーグは、「ベースボールを楽しむというスタイルでやっている」とは野村さん。体格の大きな選手たちがパワーを見せつけるかのようにフルスイングする。観ていても気持ちの良いプレーが大リーグではみられますよね。

それに比べると日本の野球はまだまだ繊細。ただし、繊細だからこそ、アメリカ人が吸収するものもあるのです。なぜ、大リーグが日本の野球に関心を持つのか。それは、アメリカで結果を残せていなかった選手が、不思議と日本で活躍しているからです。

クイックモーションができなかった投手が日本に来てできるようになって、コントロールがバラバラだった選手の制球力が良くなって、フィールディングができなかった選手ができるようになるんです出典『広島カープの血脈

野村さんからすると、これらは教えたらできること。しかし、大リーグではこれまで教えられてこなかったのです。日本にやってきた彼らは日本に来てそれを学び、活躍。そして、また、大リーグに呼び戻されるのです。すると、「日本の指導方法は素晴らしい」となるのです。

実際に渡米した野村さんには、向こうのコーチから「どんな練習があるんだ、もっと教えてくれ」と声をかけられたそうです。

今や、大リーグからも注目を集めるようになった、広島の育成システム。育成とはマニュアル通りに進めれば育つものではなく、そのワンシーン、ワンシーンに人と人との対話が存在します。この向き合う際に「粘っこくやる」「できるまでやる」という気持ちが、広島カープというチームにはあるのです。

いよいよ開幕するCSファイナルS。決して潤沢な資金があるわけでない「育成の広島」は、どのような結末を迎えるのでしょうか。