一歩踏み込めば、必ず「何か」を感じさせてくれる作品

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――『虐殺器官』は、非常にシリアスな物語である一方で、劇中にはラブロマンスの要素があり、アクションの要素があり、様々なドラマが描かれており、非常に多層的な物語だと思います。お二方は、どのような側面に最も魅力を感じましたか?

櫻井:この作品には、ミステリの要素があるじゃないですか。「『虐殺文法』って何なんだろう?」っていう最大の謎があって、明確に語られることはないんですけど、そこは未だに気にはなっていますね。でも、それを知ってしまうのも怖いという気がして……。

――余り、深みにはまり込んでしまうというのも……。

櫻井:そうですね。でも、そこは作品にとって、ひとつの大きなファクターかなという気がします。

――中村さんは、如何ですか?

中村:今回の劇場版に関しては、様々な要素を全部入れていると思うんです。ですから、どこの面をピックアップしても問題ないと思うんです。そこは、観る人の感性に委ねられる部分ですので。

ただ、僕が客観的に観た時は、やっぱり「『虐殺器官』とは一体何なのか?」っていう、そこはタイトルを見た時に一番引っかかりを覚える部分であり、後半戦の大きな見どころになっていると思います。

櫻井:タイトルは怖いんですけど……まぁ、内容も怖いんですけど、でも、怖い中にも一つの作品の中で、エンタテインメント性を感じさせる部分も沢山ある作品だと思います。

何を感じるかは観た人それぞれにお任せするとして、ただ、やっぱり、こういう目を覆いたくなるような……目を背けたくなるような現実や描写にも真摯に向かい合った作品は、僕は観るべきだと思うので、一歩踏み込んでいただければな、と。そうすれば、必ず「何か」を感じさせてくれる作品ですから。

 

メインキャストを務めた中村さんと櫻井さんのインタビューからも、作品に対する思いと自信を強く感じたアニメーション映画『虐殺器官』。

個人的にも、この映画は、観る者に対して、非常に広い視野で色々なことを考えさせてくれる、そういったパワーを持つ作品だと思いました。

私達が日常生活を過ごす上で、気にも掛けないもの、或いは、目にはしているもののどこか遠くの……自分たちがこの社会で存在している座標からは遥かに離れた、いわば"異世界"で起きている"他人事"として捉えているものを眼前に突きつけてくるような、そういった力がある映画なのです。

そうした、とても重たく、シリアスな映像である一方で、アニメーション映画としての快楽性は勿論のこと、観る者を惹き付ける"物語"の引力も有した、エンターテイメント作品としての揺るぎない魅力も併せ持っています。

この映画版から入って、原作小説に、そして、他の伊藤計劃作品に触れるのもアリだと思いますし、図らずしも『Project Itoh』の最終作となった本作が、より多くの人の目に触れればと願って止みません。

この冬の要注目作である『虐殺器官』は、2017年2月3日(金)より全国劇場にて公開です。

都内在住の極々平凡なサラリーマン兼、アニメ、音楽、プロレス、映画…と好きなものをフリーダムに、かつ必要以上に熱っぽく語るBLOG「さよならストレンジャー・ザン・パラダイス」管理人。永遠の"俺の嫁"である「にゃんこい!」の住吉加奈子さんと共に、今日も楽しいこと、熱くなれることを求めて西へ東へ。