よい姿勢、休憩を入れながら明るい場所で。少しでも負担を減らしたい

日比野「目は感覚器の中でも一番の情報源であり、外部情報の80%以上を目から得ているといいます。大切な感覚器なので、あまり無茶な使い方は避けることが、赤ちゃんからお年寄りまで重要です。

  • 同じ場所を同じ状態で見ない
  • 手元の近いところばかりを見ない
  • 長時間継続して見ない
  • 長時間見る場合には間に休憩を入れて目を休める

といったことが大切です。また、ある程度明るいところで見ると、ピント調節などにかかる負担は多少弱まります。

姿勢にも注意が必要です。

スマホや本を読むとき、うつむいて、首が斜めになると頭の重さが全部首にかかってきます。成人の頭の重さは5kgほどありますが、5kgのものを普通に持とうと思っても、持てないですよね。

でもそれを首が支えることになるため、首への負担が大きくなります。うつむき姿勢が続くことで、肌のたるみやほうれい線が増えるとも言われます。

また、夜寝るときライトをつけたまま眠ることも、近視を進めると言われています。大人になるとそれほど影響はないのですが、成長期にある子どものうちは、電気をつけず、真っ暗な状態で寝たほうがよいでしょう」

目のストレッチで視力悪化を予防。身体にいい食生活は目にもいい

――視力の悪化を防ぐためにできることを教えてください。

日比野「『遠近スライドトレーニング』というものがあります。

親指を立て、親指の爪の部分を見ながら、顔から10cmくらいのところ(腕を曲げて近づけた状態)、腕をまっすぐ前に伸ばしたところ、次に遠くの対象物に目の焦点を合わせます。

この3つの段階で焦点を合わせることで、目の筋肉のストレッチになるのと、水晶体も動くので、目の中のストレッチにもなります。

目を温めるという方法も、眼精疲労やドライアイに効果があると言われています。ホットタオルを作ってまぶたの上にのせたり、お風呂の中で目に手を当て、肌温であたためるのもよいかと思います。

目は「内臓の鏡」とも言われ、全身状態が目に映ります。目の奥の眼底検査をすると、生活習慣病など、身体全体の状態がわかります。

今までは、老眼は眼鏡の矯正や手術をしないと治らないと言われていましたが、身体全体を若返らせることによって、老眼もある程度予防できると考えられています。

目にいいことは身体にもよく、身体にいいことは目にもいい。だから、生活習慣の中で抗酸化力の高い食材、目にいい食材を積極的にとることが大切です。

血糖値が急激に上がりにくい玄米フレークや玄米グラノラ、ナッツ類中でもオメガ3の多いくるみ、腸内環境を整える乳酸菌を含むヨーグルトをとるなど。

外からの酸化ストレスや糖化ストレスに対して、抵抗できるベースを作るためにも食事は重要だと思います」

近視になると元通りにはならない! 子どもはできるだけ外遊びを

ここで、『日めくり毎日 えんきんトレーニング』の監修をされた、Y’sサイエンスクリニック広尾院長、眼科専門医・医学博士の林田康隆医師にもご登場いただき、さらにお話を伺いました。

林田康隆医師(以下、林田)「昨年発表されたオーストラリアの論文では、2050年には世界人口の半分が近視になり、さらには全人類の10%が失明しうる強度近視になる、という推測が出されました。