身体を使った遊びをしたいなら”古武術“がおすすめ

体力が有り余る男の子を家の中でおとなしく遊ばせるのは、なかなか難しいもの。ですが、日本の家屋の中で暴れられても困ってしまいますよね。

そこで、遊びや身体活動を通して社会に貢献するプロジェクトアドベンチャージャパン のトレーナーである高野哲郎さんに、元気な子どもとの家での過ごし方を聞いてみました。

「おすすめは古武術あそびです。小学校くらいの男の子ならお父さんと一緒にやれて、”大きな力が出る” ”疲れない” ”ケガをしない”など、身体の使い方が自然に身につきますよ」

どんな遊びがあるか、『親子で身体いきいき 古武術あそび』(岡田慎一郎 著/NHK出版)より、ひとつご紹介しましょう。

「キツネさんの手」引っぱりの術

  1. 受け手は自分の片方の手首をしっかり握り、前に構えます
  2. もう1人が受け手の腕(握られている手首の方)を握って、引っ張ります。腕の力だけで引っ張ろうとするので、思ったように引けません
  3. そこで、中指・薬指だけを受け手の腕に引っかけるようにして引っ張ります。すると、腕にはあまり力を入れていないのに簡単に受け手を引くことができます

このやり方をすれば、子どもが大人を動かすことも可能です。不思議ですよね。

指を2本しか使わないと腕に力が入りにくくなります。腕に力が入りにくくなると、その代わりに全身の力を自然と引き出され、結果的に腕だけの時よりも大きな力が使えるという仕組なのだそう。

この時の注意点は、中指・薬指の根元までしっかり受け手の腕に引っかけること。先端だけだとすっぽ抜ける危険性があります。

ちなみに「キツネさんの手」とは、影絵でキツネを作る時の手と、中指・薬指を折った状態の手が同じだからです。

「うちの娘はまだ身体が小さくてできないものが多いですが、簡単なものから一緒に試してやっています。運動が苦手な子どもにもおすすめですし、スポーツをする子どもなら、より具体的に身体の構造がわかって楽しめるのでは。なにより、親子で触れ合って遊べるのがいいと思います」

物語の世界に浸れるガチな読み聞かせを

コロナ前だと、絵本の読み聞かせは寝る前の限られた時間に読むことが多かったと思います。今は時間はたっぷりあるのですから、明るい時間から長い物語を読むことも可能です。

ポイントは、子どもの集中力が続くような本当に面白い本を読むこと。外で遊べない今こそ、本の中の冒険を楽しみましょう。子どもの想像力も養ってくれます。

前出の高野さんにおすすめの本を聞いたところ、古典ともいえる『トムソーヤーの冒険』『宝島』のタイトルが出てきました。

「外遊びが好きな子どもにも、ぜひ本は楽しんでほしいです。枠にとらわれず、大きなことをやろうという気持ちを育んでくれると思いますよ」

時を経ても子どもの心をつかむ力があるのが古典のいいところですね。読んでいる大人もハラハラドキドキできそうです。

また高野さんは、最近アニメ化もした『ぼくらの七日間戦争』も、子どもの好奇心や冒険心を駆り立てるのにいいのでは、とおすすめしてくれました。

幼稚園や保育園、学校に行けないのは子どもにとってもストレスでしょう。

ですが考え方を変えれば、今は体や指先を使うことで新しい遊びを発見できるチャンスともいえます。子どもは映像に頼らずともこんなに遊べるんだ、ということが親にもわかるでしょう。

ママ友同士でも遊びの情報をシェアしあって、なんとか乗り切っていきたいですね。

【取材協力】高野哲郎さん

自分自身の興味関心から生まれる遊びや他者と触れ合う身体活動を通して、人生を豊かにするお手伝いをしています。本業以外に、冒険遊び場プレーリーダー、マインドマップインストラクターとしても活動中。